小林可夢偉の思い。「F1にいたいんじゃない。レースがしたい」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

――ドライバーたちは一生懸命に走っているんでしょうけど、外から見るとSFのレースはバトルが少なくて退屈に見えてしまいます。

可夢偉 外から見ると、正直そうですよね。ホンマにアグレッシブに行けないんです。前のクルマの後ろについて走ったら、ダウンフォースがなくなってひとりだけヘロヘロになるんですよ。初心者になったみたいなドライビングになる(苦笑)。

――同じ車格のGP2ではもっとアグレッシブなバトル、レース展開が見られるだけに、どうしてだろうと思ってしまいます。

可夢偉 サーキットが違うんですよ。ヨーロッパのサーキットは幅が広くて、レイアウトがシンプルなところでは攻めていける。でも、日本のサーキットは小さい円を描くようなコーナーが多くて、なおかつちょっと狭くて、(オーバーテイクに至るまでの)距離が足りないんです。

 鈴鹿と富士以外の日本のサーキットは少し古いんで、今のフォーミュラカーの車格に合っていない。バイクやGTならなんとかいけるけど、フォーミュラカーでレースをするにはきつい。F1で「抜けない」と言われる鈴鹿でさえ、スーパーフォーミュラでは「鈴鹿は抜ける」って言われるくらい、他のサーキットが抜けなさすぎるんです(苦笑)。

――そんななか、先日はイベントで筑波サーキットをSFマシンで走り、コースレコードを3秒も縮めるという試みもしました。

可夢偉 あれは面白かったですね。あんなに狭くて短いサーキットやけど、恐さもないし、意外に普通に走れたんです。現場もすごく盛り上がったし、チームもやる気満々でスペアエンジンを持ってきてたくらいですからね。レース本番でさえスペアなんかないのに(笑)。

 でもね、普段SFのレースの記事が「Yahoo!ニュース」に出ることなんてないのに、あの日はイベントがまだ終わってもない朝の練習走行だけで記事になって、「Yahoo!」のトップに出てるわけですよ。「本気出したら全然やれるやん!」って思いました(笑)。

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