参戦1年目の小林可夢偉
「スーパーフォーミュラは甘くなかった」
小林可夢偉インタビュー@前編
「F1ドライバー小林可夢偉が、日本最高峰のスーパーフォーミュラ(SF)に参戦する」。2015年の国内レース界では、それが大きな話題となった。かつて、F1から日本に舞い戻った高木虎之介がSFの前身フォーミュラ・ニッポンで10戦8勝という圧倒的な速さを見せ、王者に輝いたことがある。日本のファンのそんな期待を知りながらも、可夢偉は「そんなに甘い世界じゃない」と語りながら開幕を迎えた。
7戦0勝・入賞4回。ランキング6位──。それが、参戦初年度の可夢偉の戦績だった。
可夢偉の速さはもう失われてしまったのか? 結論から言えば、彼がSF初年度で示したのは、むしろ彼の速さがまったく失われてはいない、ということだった。可夢偉はSFで何を思い、何に苦しんでいたのか。そしてどこに向かおうとしているのか。可夢偉自身の言葉とともに、それを解き明かしていきたい。
スーパーフォーミュラ初年度を振り返る小林可夢偉──「すぐに勝てるほど甘くない」と話していたSFでしたが、実際に戦ってみてどうでしたか?
小林可夢偉(以下:可夢偉) 思っていたとおり、全然甘くなかった。勝ちを狙っていったのに、1回も勝てなかった。日本のレースの難しさ、これまで自分がやってきたレースとの違いというのは、想像どおりでした。まぁ、勝ちたかったけどね......。勝ちにいって勝てなかったレースもあったから、そういう意味では悔しいです。
──勝てなかったのは、どうしてですか?
可夢偉 開幕戦はクルマが壊れてQ3に行けなかったけど、それ以外はすべてQ3に進出しました。そのくらい安定して、"そこそこ"のパフォーマンスは出せたと思うんです。ただ、僕らは100%まで行けなかった。だから勝てなかった。日本ではみんながずっと同じクルマ・同じサーキットで走っていて、100%引き出せる力を持っているので、そうしないと勝てない。それがSFっていうレースなんです。
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