汚名返上の2016年、
ホンダは本当に勝つことができるのか?
2015年シーズンのマクラーレン・ホンダを検証する(5)
期待と失望の繰り返し――。日本のF1ファンにとって、2015年はそんな1年だっただろう。
「上位グリッドに並ぶ」「フェラーリに追いつく」といった目標だけがひとり歩きして、必要以上に期待をあおってしまい、ファンを失望させてしまったことは新井康久F1総責任者も認めている。
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2016年のマクラーレン・ホンダはリベンジを果たすことができるか 参戦するからには頂点を目指すという意味で、「目標はメルセデスAMGに勝つこと」と口にしたのは、F1総責任者の立場ならある意味、当然のこと。しかしその結果、「ホンダは当初からトップ争いができる」といった評判が世間に広まり、期待の裏返しとして大きな失望と非難を巻き起こすことになった。
「開発者たちが頑張っているんだから、トップに立つ私が前向きでなければ。『いやぁ、ウチは勝てません』なんて言うわけにはいかないでしょう? そんなこと思いながらレースに出るようなチームなんてありませんよ」
世間からは"大口叩き"と非難を浴びたが、それこそが本田宗一郎から脈々と受け継がれる、ホンダらしいチャレンジ精神を体現したものだった。
しかし、現実はレースのたびに失望を繰り返すばかり......。
ホンダがF1界を席巻した1980年代後半から1990年代初頭と違うのは、今のF1では毎戦のように新しいものを投入し、トライ&エラーを繰り返すといったことができない点だろう。1年間に使用できるコンポーネントの数も、開発できる範囲も、厳しく制限されているからだ。
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