申ジエは「最後まで諦めない」。前人未到の日米韓3ツアー制覇なるか (2ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 日本に来てからは、「楽しくゴルフができる」ことに満足していた。本格参戦した2014年以降、毎年賞金ランキングトップ5入りを果たし、それだけの結果を残すことで充実感も十分に得ていた。

 しかし今年は、「一番になる」と公言することで、自らを奮い立たせていた。メディア対応においては、いつも穏やかな口調で、感情をあまり表に出すことはないが、今季はいつになく、賞金女王にこだわっていたように思う。

 実際、シーズン序盤から鈴木愛、アン・ソンジュらと熾烈な賞金女王争いを展開してきた。そして、9月の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を圧勝し、5月のワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップに続いて、国内メジャー今季2勝目を飾ると、賞金ランキングのトップに浮上。悲願達成への現実味が増し、一段と気持ちのこもったプレーを見せるようになった。

 ところが、ライバルのアン・ソンジュが猛追。高額賞金大会のNOBUTA GROUP マスターズGCレディースを制し、賞金女王争いにおいて、頭ひとつ抜け出した。

 いよいよ今季も残り2試合、賞金ランキング1位のアン・ソンジュと、同2位の申ジエとは、およそ3900万円差。申ジエが逆転女王になるには、残りの大王製紙エリエールレディスと、LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップと、2連勝するしかなくなった。

 申ジエにとっては、非常に厳しい状況にある。しかしそれでも、彼女はまだ諦めていなかった。

「チャンスがまったくないわけではありません。ここまでの成績は、私が1年間を通して作り上げた結果で、そこも大事です。残りの試合を大事にプレーすれば、賞金女王という目標は達成できると信じています」

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