申ジエは「最後まで諦めない」。前人未到の日米韓3ツアー制覇なるか (4ページ目)
とはいえ、勝負の世界に身を置いているからには、韓国、米ツアーのときと同様、勝つことは常に求められ、勝たなければ、この世界にとどまることはできない。
もちろん、申ジエはそのこともよくわかっている。ただ、日本に来て、戦うことに対する価値観や物の見方が大きく変わったという。
「毎週試合があるので、楽にゴルフができている、ということはありません(笑)。(日本に来て楽しいと思えるのは)競争や勝負することに、疲れたり、しんどくなったりすることがなく、より楽しくなったという感じです。ゴルフ以外のことも知ったなかで、競争の世界に身を置くことが、自らの刺激になり、活力になっているのだと思います」
勝負の世界を「より楽しめるようになった」と言うのだから、強いはずである。それに、今は心に余裕がある。シーズンの合間を縫って行なった韓国での取材と撮影もかなり楽しかったようだ。
「テレビや新聞、ゴルフ雑誌の取材や撮影を、昔は何本もこなしていました。今回の取材は本当に久しぶりで、衣装をいくつか着替えてのグラビア撮影はなかなか大変でしたね(笑)。でも、すごく楽しかったです。日本でも、誰か私を撮ってくれませんか? 紹介してください(笑)」
申ジエはそう言って笑った。
日本ツアーに本格参戦を果たした頃、将来的な目標について、彼女に聞いた。その際、彼女は「日本で長くゴルフを続けられたらいい」と語っていた。
それは、これからも変わらないだろう。その日本における歴史も素晴らしいものになるに違いないが、彼女がその1ページに是が非でも加えたいのが、賞金女王のタイトルである。
「大事にプレーすれば(賞金女王の)チャンスはある」という申ジエが今季、奇跡を起こす可能性はゼロではない。ただ、今の彼女であれば、来年も、再来年も、賞金女王獲得のチャンスは訪れるのではないだろうか。
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