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全英オープン。打倒スピースへ、松山英樹がトライした「左打ち」 (2ページ目)

  • テレビ朝日 全英オープン取材班●構成 text by tv asahi The open crew
  • photo by Kyodo News

 その松山は、現地7月11日(土)にコース入り。すぐに練習ラウンドを行なったが、「どうがんばっても、バンカーに入っちゃう気がする」とフェアウェーやグリーン周りに点在する112個のバンカーに頭を悩まし、各ホールを消化するごとに「このコース、嫌い」「もうヤダ、無理」と、世界屈指の難コースに苦悩し、ネガティブな発言を繰り返していた。

 しかし、結果を出すための準備は怠(おこた)ってはいなかった。キャディーバッグには、リンクスコース特有の強風対策として2番アイアンも入れており、現地での練習ラウンドで使用し、その感触をきちんと確かめている。

 また、翌12日(日)には、過去数々のドラマを生み出してきた17番グリーン手前のロードバンカーを入念にチェックしていた。1978年大会、中嶋常幸が脱出に4打を要して優勝争いから脱落したことから、通称「トミーズバンカー」と呼ばれる名物バンカーである。実際、松山も練習ラウンドで捕まったが、そこでは難なく脱出に成功していた。ただ、松山はそれで満足はしていなかった。

 突然、そのバンカー内で左打ちに挑戦し始めたのだ。最初はサンドウェッジで脱出を図って失敗し、続いてクラブをピッチングウェッジに代えて打つも、バンカーからボールが出ることはなかった。

「やっぱりこのバンカーは、左じゃあ(出すのは)無理だ」

 松山はそう言って左打ちの練習をやめたが、そのチャレンジに、松山の"強さ"が感じられた。普通なら、想像すらしない左打ち。しかし松山は、練習の段階であえて挑戦し、本番での選択肢を広げるための、どんな状況に陥ってもそれに対応できるようにするための、準備や努力を欠かすことがない。そこに、松山が持ち続ける"あくなき向上心"の一端を垣間見ることができた。

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