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【欧州サッカー】バッジョが10番を譲った「とびっきりの逸材」 サビチェビッチのドリブルにミラニスタは酔いしれた (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【CL決勝で披露した究極の一撃】

 11人で守るというカペッロの戦略を理解するまでに時間を要した印象はあるが、そのハンデを補って余りある技術で攻撃を支えた。オランダ人選手の離脱で攻撃力低下が危惧されていたミランにあって、前シーズン13ゴールを挙げたジャン=ピエール・パパンと芸術的なプレーでリズムを創ったサビチェビッチは、わずか15失点の守備陣とともにリーグ3連覇の立役者といって差し支えない。

 そして、1993-94シーズン最大の見せ場がやってきた。バルセロナとのチャンピオンズリーグ決勝である。

 前半を2-0で終えたミランは余裕を持って後半を迎え、47分にチャンスが訪れる。バルセロナ自陣の左サイドでミゲル・アンヘル・ナダルがボールの処理にもたつくのを見るや、サビチェビッチはすぐさま足を伸ばしてボール奪取。すると、ペナルティエリア外の角度のないポジションから、何のためらいもなく左足を振り抜いた。

 計算し尽くされたような弧を描いたボールは、GKアンドニ・スビサレッタの頭上を越えて、美しくサイドネットへと吸い込まれていく。瞬時の判断と高等技術が生んだ、究極の一撃だった。

 その後、ミランはマルセル・デサイーもゴールを決め、4-0の圧勝を収めている。フランコ・バレージとアレッサンドロ・コスタクルタが出場停止、34歳を迎えたマウロ・タソッティの衰えなど、イタリア王者は守備陣に少なからぬ不安材料を抱えていた。それでも強敵バルセロナを難なく退けたのは、サビチェビッチをはじめとする攻撃側の奮戦といっていいだろう。

「完全にコントロールされた。特にサビチェビッチ......。一度も止められなかったからな」

 滅多に人を褒めない敵将クライフも脱帽していた。

 左ウイングから2トップの一角にポジションを移した1994-95シーズンはリーグ4位に終わったが、左ウイングに戻った1995-96シーズンは覇権奪還に貢献。ユベントスから移籍してきたロベルト・バッジョに「10番はサビチェビッチのもの」と言わしめ、繊細なボールタッチと流麗なドリブルでミラニスタの喝采を浴びた。

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