【箱根駅伝2026】早稲田大・山口智規が体現した「1500mから20km超まで」の両立 「俺の2区は評価されていないな、と......(笑)」の真意とは
4年目は日本選手権1500m2位などトラックでも好成績を残した早大・山口智規 photo by 長田洋平/アフロスポーツ
後編:早大のエース・山口智規が駆け抜けた4年間
早稲田大のエース・山口智規(4年)は最後の箱根駅伝で3年連続出走となった2区を日本人トップの区間4位、早大記録を大幅に更新する激走を見せた。トラックを主軸に駅伝との両立を追求し続けてきた大学での競技生活は、2年時から存在感を発揮。箱根では渡辺康幸が持つ2区の早大記録を更新する活躍を見せた。
その手応えを糧に3年目に突入したのだが----。
前編〉〉〉山口智規が見せた意地の2区の快走と追求し続けた「トラックと駅伝」の両立
【「欲張ってしまった」大学3年目】
しかし、3年目に思わぬ落とし穴があった。
「2年目にうまくいったので、3年目は5000mで13分20秒ぐらいまでいきたいと思っていましたし、箱根も2区で65分台を出せればなと思っていました。その両方をと思って欲張ってしまいました。
2区にとらわれすぎていたところもあって、いざトラックでスピードを出そうと思った時に、なかなか出力が上がりませんでした。自分の体とか感覚にあまり耳を傾けられていなかったというか、そこが雑だったなと思います」
大学3年目のシーズンを迎える春先は、ニューヨークシティハーフマラソン、世界クロスカントリー選手権、日本選手権10000mとビッグレースが続いた。前年は1500mでシーズンインして飛躍を遂げたが、この年は「そういうプランニングすらできなかった」と振り返る。
記録を追い求めて、前半戦はレースにも数多く出場した。
「狙っているレースで結果を出すのに、何カ月も準備する時間が必要ということを理解していませんでした。まったく自分らしいシーズンの過ごし方ができなかった」
力のある選手だけにところどころで存在感を示しはしたものの、納得のいく走りはなかなかできずにいた。特に駅伝では、出雲駅伝が1区12位、全日本大学駅伝が2区5位、箱根駅伝が2区12位と、うまく走れなかった(もっとも全日本は18位から5位まで順位を「13」も押し上げる活躍だったが、自身にとっては失敗レースだった)。
「3年目の駅伝は3つとも納得がいかなかった。それが1シーズンすべてを見直すきっかけになりました。失敗したレースがたくさんあったから4年目に飛躍ができたのかなと思います」
山口は、ターニングポイントに、うまくいかなかった3年目を挙げる。転んでもただでは起き上がらなかったのだ。
そして、4年目。2月〜3月のメルボルン遠征から帰ってきたばかりのシーズン当初はなかなかエンジンがかからなかったが、6月以降、一気にその才能が花開く。
日本インカレは1500mと5000mに出場し、日本人で初めてこの2種目で二冠を達成。7月の日本選手権は1500mに出場し、日本人学生歴代3位(日本学生歴代5位)となる3分38秒16の好記録をマークして2位に入った。その翌週のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会では、5000mで実業団の外国人勢をも破って1着となり、日本人学生歴代3位(日本学生歴代7位)となる13分16秒56 で走った。このように、3年目の不振を吹き飛ばすような活躍を続けた。
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著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

