久保建英の今季前半は「失望」とスペイン人記者 新監督の3バック採用でポジション争いはさらに厳しく...... (3ページ目)
【マタラッツォ新監督は3バック志向】
成績不振によりセルヒオ・フランシスコが解任され、新監督にイタリア系アメリカ人ペッレグリーノ・マタラッツォが就任した。レギュラーが確約されていない久保にとっては、多くの不安を抱えたまま2026年を迎えることになるが、ドイツでの経験豊富な彼の下で、来年こそラ・レアルがいい方向に変わると信じたい。それは選手とクラブにとって"電気ショック"となるはずだ。また、今までにない外部からの異なる視点をもたらしてくれることにも期待したい。
ユリアン・ナーゲルスマン(現ドイツ代表監督)のアシスタントコーチ時代(ホッフェンハイム)、そしてシュトゥットガルトやホッフェンハイムでの監督時代を含め、彼のサッカー観は常に3バックとウイングバックのシステムで構成されてきた。これにより、ポジション変更を余儀なくされる選手もいれば、レギュラーの座を失う選手、頭角を現わす選手も出てくるだろう。これはラ・レアルを揺るがすことになる。
久保にとっては新たな可能性を開くチャンスにも、大きな問題にもなり得る。3-4-2-1が採用された場合、彼の新しい役割は日本代表で担っている2シャドーのようなポジションになるかもしれない。よりインサイドでのプレーが多くなるが、動きは非常に自由で、右サイドに縛られることがなくなるだろう。
右サイドバックのホン・アランブルがボール扱いに問題を抱えている点を考慮すると、右ウイングバックとしてプレーする可能性もある。この選択肢は久保にとって新境地であり、新たな役割を学ぶ覚悟が必要となる。
現実的に考えるとシャドーの可能性が最も高いが、その場合、久保はゲデスとのポジション争い(すでに一緒にプレーしているとはいえ)から、ブライス・メンデス、カルロス・ソレール、アルセン・ザハリャン、ルカ・スチッチ、ミケル・ゴティといった攻撃的MF陣に加え、オヤルサバル、バレネチェアといったFW陣とレギュラーの座を争うことになる。
冬の移籍市場でセンターフォワードが加入するかどうかは不明だが、3-5-2のシステムが採用された場合、久保は2トップの一角でプレーする可能性もあるだろう。アレクサンデル・セルロートと前線でコンビを組み、ダビド・シルバを背後に擁した2022-23シーズンの中盤ダイヤモンド型の4-4-2のように、縦に鋭い電光石火のセカンドトップとしての役割を担うかもしれない。
これまでの実績を考えると、どのシステムであっても久保はレギュラーに値していると思うが、現状のままだと不動の地位を得ることは不可能だ。チームの流れを引き継いでいない外部からやってくる外国人監督とあれば、なおさら難しいものがある。
そのため、久保がやるべきことはただひとつ、真の意味でステップアップして新監督の信頼を勝ち取ることだ。新年の幕開けとともに新生ラ・レアルが始まろうとしているなか、久保はどんな形であれ、再びスターのひとりとなるために戦い続けなければならない。
髙橋智行●翻訳(translation by Takahashi Tomoyuki)
著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
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