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サッカー日本代表には不参加が決定 遠藤航が語る、首位陥落リバプールの現状と自らの役割

  • 山中忍●文 text by Yamanaka Shinobu

 リバプールがプレミアリーグで連敗を喫した。昨季、発足1年目から首位を独走したアルネ・スロット体制下では初の出来事だ。10月4日の第7節チェルシー戦は、チャンピオンズリーグ(CL)を合わせれば3連敗となる敗戦(1-2)。国内では1ポイント差でアーセナルに首位の座を譲って代表ウィークを迎えている。

 遠藤航がベンチを出たのは、後半41分。日本代表MFは、スコア1-1のピッチに2ボランチの一角として投入されたが、アディショナルタイムを含む11分後には、敗者として敵地のピッチをあとにすることになった。

 もっとも、当人は「難しいシーズンになるという予想どおりと言えば、予想どおり」と、冷静だ。

「1シーズンやって、相手も分析して、ここを使ったほうがいい、みたいなのがわかるから」

「ここ」とは、自軍の右サイド。換言すれば、基本の4-2-3-1システムで、絶対的な右ウイングであるモハメド・サラーが守備面のハードワークを免除されているサイドだ。後半アディショナルタイム5分、チェルシーに勝ち越すチャンスを作られたサイドでもある。

チェルシー戦に後半41分から出場した遠藤航(リバプール) photo by Reuters/AFLOチェルシー戦に後半41分から出場した遠藤航(リバプール) photo by Reuters/AFLOこの記事に関連する写真を見る 失点そのものは、遠藤がつく格好になった相手左SB、マルク・ククレジャの低弾道クロスを、ファーサイドでエステバンに合わされている。ククレジャにスルーパスが出た瞬間は、味方CBフィルジル・ファン・ダイクの動きからしても、オフサイドトラップをかけたかにも見えた。だが、背後にいたライアン・フラーフェンベルフとアンドリュー・ロバートソンが、ククレジャをオンサイドにしていた。遠藤自身は、こう振り返っている。

「あそこは、俺がついていくか、ライアンがカバーするか。ライアンに名前を呼ばれて任されたので(自分が)行くしかなかった。もう少し早めに下がっていれば、足に当てられたかもしれないけど、ワンタッチでクロスを入れられたら、もう届かないという感じでした」

 その決定機が敵に生まれる過程では、サラーにチェイシングをする気がないことから、ククレジャが楽々とリバプールのボックス内へと足を進めていた。右SBとしてサラーの後方で先発し、スペース、そして相手選手への対応に苦戦したコナー・ブラッドリーは、とうにピッチを去っていた。前節クリスタル・パレス戦(1-2で敗戦)に続く、ハーフタイム中の交代だった。

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著者プロフィール

  • 山中忍

    山中忍 (やまなかしのぶ)

    青山学院大学卒。1993年に渡欧し、西ロンドンが人生で最も長い定住の地に。イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』、『バルサ・コンプレックス』(ソルメディア)など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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