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サッカー日本代表には不参加が決定 遠藤航が語る、首位陥落リバプールの現状と自らの役割 (4ページ目)

  • 山中忍●文 text by Yamanaka Shinobu

【楽しみにしていたパラグアイ戦、ブラジル戦】

 そのなかで自らは「チームありき」の姿勢を貫く。あまりポジションに対するこだわりもないと言っていた。

「ボランチかセンターバックでの出場機会が増えていくかなというイメージで、サイドバックも別に『やれ』と言われればやる。6番にこだわり続ける必要はないというか、それもリバプールでの存在意義のひとつだし。自分は(ここまでの)過程として、『海外に行くには6番かな』みたいなことがあって、6番で勝負したタイミングがロシア(ワールドカップ)後でしたけど、今は正直、どこでもプレーします。それが求められているので」

 2026年ワールドカップでベスト8以上を狙う、現日本代表キャプテンとしての10月の2試合は、スタンフォード・ブリッジで右脚のハムストリングを痛めて欠場となってしまった。チェルシーとの試合自体は画面越しに観戦した筆者は、テレビカメラが追わないボールと離れた位置での出来事だったのかと思いきや、試合後に尋ねてみれば、他のベンチスタート組と一緒に終了後のピッチでスプリントなどをこなした際の不運だった。

「パラグアイ戦とブラジル戦、個人的にはめっちゃ楽しみにしていたんです。試合勘とかも含めて、絶対にやれたほうがいいですけど、本当に明日(英国時間5日)のMRI検査次第です。そんなにひどくはないだろうと思いますけど」

 そう話していた遠藤にとっては残念だが、プレミア再開後のリバプールとケガから復帰後の遠藤も非常に楽しみだ。話をクラブに戻すと、「ひとりひとりのメンバーを見たら、やっていない、戦えていないとは思わない」と、チェルシー戦での自軍を振り返ってもいた。

 確かに、エースのサラーには2度、反撃を期した後半早々に得点機が訪れていた。今季は、"パス・マスター"でもあった右SB、トレント・アレクサンダー=アーノルドというボール供給源が去り(レアル・マドリードに移籍)、今のところはボールに触れる回数からして見た目にも減っている。ビルツの他に、ウーゴ・エキティケ(前フランクルト)とアレクサンデル・イサク(前ニューカッスル)も加わっているチームは、新たな前線の機能調整に取り組み始めたばかりでもある。

 リバプールは、連敗前のリーグ戦5連勝中も、決して本調子ではなかった。今夏の移籍市場最終日にイサクを獲得した時点で、「今季もリーグタイトルの行方は決まった」とまで報じられた昨季プレミア王者は、まだまだこれからよくなるはずだ。

 そして遠藤も言っている。「リードしている時間が増えれば、自分の出場時間も増える」と。

著者プロフィール

  • 山中忍

    山中忍 (やまなかしのぶ)

    青山学院大学卒。1993年に渡欧し、西ロンドンが人生で最も長い定住の地に。イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』、『バルサ・コンプレックス』(ソルメディア)など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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