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サッカー日本代表のメキシコ戦とレアル・マドリード戦 久保建英のプレーは何が違っていたか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 久保建英は日本代表のアメリカ遠征でメキシコと戦った後、所属するレアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)に戻って、ラ・リーガで"古巣"レアル・マドリードと戦っている。

 どちらの試合も勝つことはできていない。メキシコ戦はスコアレスドロー。レアル・マドリード戦は1-2と黒星だった。メキシコ戦で久保は先発して後半24分まで出場、レアル・マドリード戦では後半21分からの出場だった。

 だが、久保が"らしさ"を見せたのは、間違いなく後者だった。プレー内容の違いは、今後の久保、ひいては森保ジャパンを論ずるのにひとつの目安になるかもしれない。

 前節レアル・マドリード戦は後半21分からの出場だった久保建英 photo by Nakashima Daisuke  前節レアル・マドリード戦は後半21分からの出場だった久保建英 photo by Nakashima Daisuke 「遅すぎる投入だった」

 レアル・マドリード戦の久保の起用法に関しては、現地でも批判的な声が少なくない。レアル・マドリードが前半途中で退場者を出し、ラ・レアルが数的優位だったこともあるだろう。「うまく使えていない」という意見もある。

 その不満は、久保がレアル・マドリードを相手にダメージを与えていたからこそ、と言えるだろう。久保は出場時間30分足らずでも、強力な武器になっていた。ピッチのなかでやるべきことを見つけ、周りと連係しながら、攻め崩す姿は実に痛快だった。

 今シーズンのラ・レアルは開幕から4試合勝ち星がなく、「うまくいっている」とは言えない。久保移籍1年目を考えると、ダビド・シルバ、アレクサンダー・セルロート、ロベルト・ル・ノルマン、ミケル・メリーノ、マルティン・スビメンディなど多くの主力が去っていった。そのパワーダウンは、久保ひとりでは支えきれないほどだ。

 しかしながら、イマノル・アルグアシル監督からセルヒオ・フランシスコ監督が継承した"チームの仕組み"は、壊滅的な歪みを起こしていない。それぞれの選手が連係するために起用されており、それをトレーニングしているのも伝わってくる。サッカーの匂いはしてくるのだ。

 たとえば、レアル・マドリード戦で久保は右サイドアタッカーで起用されているが、フラン・ガルシア、アルバロ・カレーラス、アルダ・ギュレルに三方を囲まれるも、パス交換で打開する手段を持っていたし、新入団のファンタジスタ、カルロス・ソレールとのワンツーでは何度も相手ディフェンスを動揺させていた。連係を見せる一方、縦への鋭い突破も効果的で、シュートに行く場面もあった。結局ゴールは決められなかったが、右サイドを中心に躍動していた。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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