サッカー日本代表のメキシコ戦とレアル・マドリード戦 久保建英のプレーは何が違っていたか (2ページ目)
【下位脱出をかけての戦い】
一方、森保ジャパンのメキシコ戦で、久保は2シャドーの一角で起用されたが、活躍は単発だった。試合最大の決定機だった南野拓実のボレーを演出した場面では、同じ左利きの堂安律とのコンビで崩した。他にも可能性を感じさせるコンビだったのは間違いない。ただ、回数が少なすぎた。
そもそも、堂安が右ウイングバックというのは控えめに言ってトリッキー、率直に言えば"宝の持ち腐れ"で墓穴を掘っていた。言い換えれば、仕組みとして破綻していたのである。堂安、三笘薫、前田大然、伊東純也など欧州のトップチームで得点力を輝かせる選手を、なぜウイングバックで起用するのか?
余談になるが、久保が出場しなかったアメリカ戦は半ばジョークだった。ウイングバックの問題だけでなく、長友佑都を左センターバックで起用する答えをどう導き出したのか(FC東京でいいプレーをしたのは右サイドバックで、だった)。後半は4バックに変えたが、望月ヘンリー海輝はサイドバックでは技術が足りず、守備対応も頭を抱えるほど悪かった。とどめにセンターバックふたりは3バックが基本の選手たちだった。
森保ジャパンの欠陥が表面化し、久保の活躍が凡庸の域を出ないのは、自明の理と言える。
森保ジャパンでの久保は、才能を半分眠らせている。トップ下か右サイドアタッカーかといった論争はあるが、それ以前の問題だろう。チームの仕組みに欠陥があって、適材適所ではない場合、組織が機能するはずはない。
久保は近い距離でパートナーを得ることで単騎での突破にも迫力が増すし、機動力を脅威に無数の選択肢からダメージを与え、相手を間合いに入れない。
「コンビネーションに優れている点こそ、久保の才能」
ラ・レアル関係者は絶賛しているが、チームの仕組みがあって、優れたボールプレーヤーが近くにいた場合、手がつけられなくなるはずなのだ。
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