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久保建英の出場時間が調整される理由 スペイン人記者が明かすレアル・ソシエダの苦しいチーム事情

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

現地発! スペイン人記者「久保建英コラム」

 レアル・ソシエダはラ・リーガでヘタフェに0-3で敗れ、公式戦3連敗。久保建英は孤軍奮闘の活躍を見せているものの出場時間が調整され、先発だったりベンチスタートだったりしている状況だ。

 今回はスペイン紙『ムンド・デポルティボ』でレアル・ソシエダの番記者を務めるウナイ・バルベルデ・リコン氏に、久保の先発とベンチスタートの成績を比較してもらった。

【久保はチームに必要不可欠な選手となっている】

 レアル・ソシエダは今季、際立つようなシーズンを送れていない。ラ・レアル(※レアル・ソシエダの愛称)はイマノル・アルグアシルの監督就任後、21世紀に入ってからのほぼすべての"クラブのシーズン記録"を更新してきた。しかし、サポーターの期待に応え、あらゆるハードルを上げてきた過去5シーズンと比べ、今季のパフォーマンスは明らかに悪化している。

ヘタフェ戦では孤軍奮闘だった久保建英 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAヘタフェ戦では孤軍奮闘だった久保建英 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る チームが好調なシーズンを送れていた時、久保建英は輝きを放ちながら重要な役割を果たしてきた。そしてチームが落ち込んでいる今、自身の進化と主力選手の退団により、リーダーの資質を示している。以前と変わらずレギュラーのままだが、今は単調な攻撃を打破するため、さらに必要不可欠な選手となっている。

 イマノルは今、解決しづらい問題に直面しているようだ。ラ・レアルには久保のようにプレーできる選手が他に存在しない。そしてチームは決定力不足という問題を抱えている。しかし、この状況のなか、3日おきに重要な試合をこなさなければならず、指揮官は「常に同じ選手で戦いながら、この日程に耐えられるチームはない」とも言う。

 イマノルは長年、選手層の問題によりローテーションをうまく使いこなせていなかったが今季は違う。ここまで約30パターンの異なるスタメンを組んでいる。その間、同じメンバーで臨んだのはたった3回のみ。3試合続けて同じ11人がスタメン入りしたことは一度もない。そのため、先発メンバーが誰になるかを予想するのはほとんど不可能だ。

 そのなかではっきりしているのは、守備陣ではGKアレックス・レミロ、DFイゴール・スベルディアとナイフ・アゲルド、中盤ではマルティン・スビメンディ、前線では久保といった、柱となる選手がいるということだ。他にもたくさん出ている選手はいるが、おそらく絶対的なレギュラーとして皆に認識されてはいないだろう。

 ブライス・メンデスは今季、プレーの質とチーム内での重要度を落としている。ジョン・アランブルはチャンスを掴んでいるものの攻撃的なプレーに欠け、アマリ・トラオレは負傷中だ。キャプテンを務めるチーム得点王のミケル・オヤルサバルは、スター選手として加入したオーリ・オスカルソンがいいプレーを見せられていないので、非常に出番が多い。だが、負傷前のようなパフォーマンスを発揮できていない。

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著者プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

【画像】久保建英のレアル・ソシエダほか ヨーロッパサッカー今季注目16クラブの主要フォーメーション

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