検索

プレミアリーグに歴史あり ユナイテッドとシティ マンチェスターのふたつのクラブの長いライバル史 (4ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【ふたつのクラブは新たなフェーズへ】

 当時、低迷中のシティのサポーターたちは「ユナイテッドは金まみれ。金の力でチームを強化している」と悪口を言っていたが、皮肉なことにシティも2008年にアラブ首長国連邦(UAE)の投資ファンド「アブダビ・ユナイテッド・グループ」がオーナーとなってから、オイルマネーの力で欧州を代表するビッグクラブとなった(さらに皮肉なことにファンドの名称は「ユナイテッド=アラビア語でエティハド」だった)。

 2011-12シーズンにプレミアリーグで初優勝。2016年にジョゼップ・グアルディオラ監督を迎えると、以後プレミアリーグを6度、CLで2度の優勝を飾った。ファーガソン監督退任後、低迷期に入ったユナイテッドとは完全に立場が入れ替わってしまったようだ。

 ところが、2024-25シーズンに入るとシティは成績が伸ばせず、優勝争いからはほぼ脱落。来季のCL出場権争いにも黄信号が灯っている。一方のユナイテッドのほうはさらに下位に低迷しており、チーム内からも不協和音が聞かれ続けている。また、「金の力で強化した」マンチェスターのふたつのビッグクラブには財務規則違反の疑いもかけられている。

 マンチェスターのふたつのクラブの興亡史も、新たなフェーズに入ろうとしているようである。

連載一覧>>

著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

【写真】イングランドで奮闘! なでしこジャパン長谷川唯&長野風花フォトギャラリー

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る