旗手怜央が振り返るわずか4年間の「FW時代」だがそれがセルティックでのゴール&アシストに生きている (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【オフ・ザ・ボールとワンタッチゴール】

 大会前も、いくつかゴールを決めていたが、ミドルレンジからのゴールが多く、ラストパスにワンタッチで合わせるといった、いわゆるFWらしいゴールは少なかった。

 静岡学園で技術を磨き、ボールを持ったときのプレーに自信はあったが、FWとしてプレーするようになり、学び、変わったのは、オフ・ザ・ボールの動きだった。監督やコーチからボールがないところでの動きを教わり、それまでセカンドトップを担っていた名古さんの動きも見て、自分に取り入れていった。

 何よりFWとしてプレーするようになって感じたのは、MFと比べてオフ・ザ・ボールの時間が長くなることだった。これは、後ろから前にポジションが行くにつれて増していく。

 パスを引き出す。相手の背後に走り込む。DFとの駆け引きに勝つ。いずれも自分がボールを持っていない時に求められるFWの動きであり、質だった。

「FWで生き残っていきたいのなら、FWはワンタッチでのゴールが多いから、そこを磨かないといけないよ」

 大学時代の監督である堀池巧さんやコーチ陣から言われた言葉は、今でも覚えている。

 その後、自ら持ち運んでのゴールだけでなく、ワンタッチでゴールを奪えるようになった自分は、大学1年にしてリーグ戦でチーム最多となる9得点をマークした。そのゴール数は2年生で14得点、3年生で12得点と二桁に届いた。

 関東大学リーグでは、筑波大学の中野誠也さん(アスルクラロ沼津)、流通経済大学のジャーメイン良さん(ジュビロ磐田)、そして法政大学の上田綺世(フェイエノールト)といった錚々たるストライカーと、得点ランキングを争ったことも刺激と励みになった。

 FWとしてプレーした大学4年間のその経験は、今も生きている。冒頭で記した得点シーンで、とっさに身体が動き、走り込めたのは、まさにそのおかげだからだ。

 長くFWでプレーしている選手は、理論的に考え、動いている人もいることだろう。しかし今、自分が最後の最後で自然に身体が動き、ゴール前に顔を出せるのは、FWとしてプレーした4年間があったからだ。とっさに足が出る、とっさに動き出している。その瞬間で、素早く反応できるのは、身体に染みついているところが大きい。

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