旗手怜央が振り返るわずか4年間の「FW時代」だがそれがセルティックでのゴール&アシストに生きている (4ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【今はFWの気持ちがわかるのも強み】

 インサイドハーフが主戦場となった今は、FWの気持ちがわかることも強みになっている。オフ・ザ・ボールの時間が長いFWは、脚光を浴びないところで何度も駆け引きをし、動き直してもいる。

 走るたびにパスが出てこなければ、彼らも人間だから走るのを躊躇してしまったり、走るタイミングが遅れてしまったりする場合もあるだろう。だから、中盤でプレーする今は、仮に五分五分、もしくは成功率が難しくても、前線にパスを出すことがある。動き出していたFWに対して、「見ているよ」「わかっているよ」というメッセージを込めて。

 クロスも、きっとこのタイミングでは合わないだろうと思っていても上げるのは、次への布石にするためだ。その瞬間で見れば、パスが合わなかった、クロスが合わなかったという結果に見えるが、90分を考えると、FWはあのタイミングで出してくれたから、「次も来る」と信じて走ってくれる。それが次のチャンスでのゴールにつながるし、その試合だけにとどまらず、さらに次の試合でのゴールにもつながっていく。

 FWはボールのないところで、1回、1回、相手や状況を見て考えて動き続けている。動き出しているところに合わせられないのは、パスの出し手の責任。だから、彼らの動きを見逃さずに、欲しいタイミングで適した場所にパスを出せる選手になりたいと思っている。

 インサイドハーフでプレーする今、ゴールやアシストといった結果に目を向け、そこを自分が求められているのも、FWとしてプレーした4年間があったからだ。

 自分自身も振り返ってみて、「わずか4年間だったのか」と驚いたが、自分がずっとFWだったと錯覚するほど大学時代は強烈で、今の自分にとって確かな財産になっている。

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著者プロフィール

  • 旗手怜央

    旗手怜央 (はたて・れお)

    1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2022年3月のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。2022年1月より、活躍の場をスコットランドのセルティックに移して奮闘中。

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