検索

【Jリーグ連載】「サッカーがうまいか、ヘタか」読売クラブ時代からなる東京ヴェルディ・アカデミーの明確な物差し

  • 浅田真樹●取材・文 text by Masaki Asada

東京ヴェルディ・アカデミーの実態
~プロで戦える選手が育つわけ(連載◆第38回)

Jリーグ発足以前から、プロで活躍する選手たちを次々に輩出してきた東京ヴェルディの育成組織。その育成の秘密に迫っていく連載の第3章は、同クラブのアカデミーで育ち、指導者としても後進の育成に尽力してきた菊原志郎氏と冨樫剛一氏が、同アカデミーの歴史、伝統、環境、哲学、本質......すべてを語り尽くしていく――。

第37回◆読売クラブのアカデミーにおけるシビアな競争社会>>

 読売クラブ時代も含め、選手として、指導者として、東京ヴェルディのアカデミーに関わってきた冨樫剛一(現横浜F・マリノスユース監督)によれば、「基本的にはサッカーがうまいか、ヘタか。それでランクが決まっていく」。このクラブの物差しは、明確だった。

 だからこそ、「読売に入った時は一番下だった」という冨樫は、とにかくうまくなろうと、憧れの先輩たちを目標に努力を続けた。

「ボールを取られちゃいけない。ボールをつなげられなきゃいけない。ゴールを取らなきゃいけない。裏を返せば、ゴールを取られちゃいけない。ゴール前では体を張らなきゃいけない。そのうえで、ボールを取れたらなお褒められる、みたいな。もうシンプルなことです」

読売クラブのアカデミー時代について語る菊原志郎氏 photo by Manabu Takahashi読売クラブのアカデミー時代について語る菊原志郎氏 photo by Manabu Takahashiこの記事に関連する写真を見る その感覚は、飛び級でいち早くトップチームへの階段を駆け上がった、菊原志郎(現FC今治U-12監督)にとっても共通するものがあった。

「『あ、うまい!』とか『あ、すごい!』っていうのが、ざっくりと"いいもの"って感じですよね。それで(他の選手のプレーを見て)いいものをどんどん自分のなかに取り入れていくんです」

 しかし、そうした競争社会に馴染めず、途中でクラブをやめていく選手も少なくなかった。

 たとえば、5対2のボール回し。読売のルールでは、輪の中に入るふたりのオニは股にボールを通されると"プラス1"となって、1回ボールを奪っても交代できない。

「それで20回くらい股を抜かれて"プラス20"とかになり、1時間くらいずっと(輪の)中でディフェンスすることになった練習生が、次の日から来なくなっちゃったりしてね」

 苦笑いでそう語る菊原が、述懐する。

「でも、僕らのなかでは、それが普通。読売の基準でやっていけないとだんだん来なくなる選手も多い。強い選手だけが残っていくから、強い選手同士で日々競い合う。今考えると、本当に高い基準でやっていたんだなと思います」

1 / 2

フォトギャラリーを見る

キーワード

このページのトップに戻る