ユーロ2024フランス戦で明らかだったポルトガルの限界 不発のロナウドを外すべきだったのか (3ページ目)
PK戦は、どちらが勝っても決定的な違いはない。
しかし、ポルトガルが負けた理由は明白だろう。ロナウドがゴールを決められなかった、それに尽きる。スロベニア戦も、彼はゴールに迫っていたが、やはり外していたし、PKまでもヤン・オブラク(アトレティコ・マドリード)にストップされていた。
では、ポルトガルはロナウドを外すべきだったのか。
実際のところ、ロナウドほどピッチで感情を露にし、チームをけん引できる存在はいなかった。彼のいないチームは迫力を欠いただろう。ジョアン・フェリックスやゴンサロ・ラモス(パリ・サンジェルマン)に何ほどのことができたか。
つまり、ポルトガル代表とロナウドは運命共同体だったのだ。
「ロナウドの代表ラストゲーム? 違うよ。我々はチームとしてともに苦しんだ。個人的な決断はまだ下していない」
ロベルト・マルティネス監督は、そう言ってロナウドを気遣った。サッカー史に名を残す巨人へのリスペクトか。しかし、幕はいつか下りるものだ。
7月8日の準決勝。ポルトガルを下したフランスは、スペインとの対戦が決まっている。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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