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ユーロ2024フランス戦で明らかだったポルトガルの限界 不発のロナウドを外すべきだったのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【大きな国際大会で初のノーゴール】

 しかし、ゴールが足りない――。その役を担うエース、39歳のクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)が不発だった。

 前半、ロナウドはほとんどボールに触れていない。終了間際のFKは蹴る気満々だったが、ブルーノ・フェルナンデスに蹴られてしまう。後半、こぼれ球をヒールシュート。ようやく動きが活発になったが、ポストワークははまらず、裏に走っても相手につかまってしまう。味方とパスの意図が合わず、フラストレーションから咆哮を上げた。

 延長前半、ロナウドは、コンセイソンが右サイドから切り込み、折り返した絶好のボールに合わせている。しかし右足でヒットできなかった。たしかに後方にボールがくる形だったが、全盛期だったら、体を畳み込んで打てたかもしれない。本人の苦悶に似た悔しそうな表情が、すべてを物語っていた。

「ロナウドはゼロ得点に終わる。大きな国際大会では初!」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、ロナウドが大会を通じ、初めて0点だったことを見出しに打っている。20年前、ユーロ2004で得点を決めて以来の、その歴史が途切れたのだ。

 逆説すれば、ポルトガルはロナウドが得点を決めることで、栄光を作ってきた。今回のユーロも、予選ではロナウドが9試合10得点と大車輪の活躍を見せる。言われなき批判も受けるが、不動のエースだった。

 つまり、ロナウドという火力が不完全燃焼に陥った時、ポルトガルに勝ち目はなかったのである。

 誤解を恐れずに言えば、フランスがサッカーで上回って勝ったわけではない。極めてフィジカルなチームで、パワーやスピードを効率に特化していたにすぎず、面白味は乏しかった。エムバペやデンベレが見せた突破はワールドクラスだったが、あくまで単発。アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)はエレガントだったが、彼に供給されるボールは限られ、"シャンパンサッカー"だとすれば炭酸が抜けていた。

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