コパ・アメリカ2024はどこが優勝する? メッシのアルゼンチンか、ヴィニシウスのブラジルか (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi

【ブラジルは監督選びに紆余曲折】

この記事に関連する写真を見る その対抗馬と目されるブラジルは、FWのヴィニシウス・ジュニオールやロドリゴ(ともにレアル・マドリード)、MFブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル)、DFマルキーニョス(パリ・サンジェルマン)、GKアリソン(リバプール)、そして17歳の超新星FWエンドリッキ(パルメイラス)ら、個々だけを見れば世界トップレベルにあるが、チームは近年、迷走を続けている。

 2019年に開催された前々回大会で優勝したまではよかったが、2021の前回大会ではブラジルの聖地マラカナンスタジアムで行なわれた決勝で永遠の宿敵アルゼンチンに敗れ、カタールW杯では準々決勝でクロアチアにPK戦の末に敗退。ここで6年以上指揮を執ったチッチ監督に別れを告げたものの、後任選びに苦しんだ。

 ブラジルは長らく国際的に成功したシニアレベルの指導者を輩出していない。そのため、ブラジル協会は史上初となる外国籍の代表監督の招聘を検討し、レアル・マドリードのイタリア人監督カルロ・アンチェロッティやパルメイラスのポルトガル人監督アベル・フェレイラに白羽の矢を立てた。

 しかしどちらも欧州と南米のトップに君臨するクラブでの仕事を続ける意向を示し、交渉は難航した。今年1月までふたりのブラジル人指導者が暫定的に指揮を執り、その間9試合の成績は3勝1分5敗。モロッコとセネガルに親善試合で敗れ、2026年W杯南米予選ではウルグアイとコロンビアに敵地で屈し、昨年11月には再び本拠地マラカナンでアルゼンチンに跪いている。目下、南米予選ではベネズエラやエクアドルらの後塵を拝す6位だ。

 その後、フラメンゴを率いて2022年のコパ・リベルタドーレスを制したドリバウ・ジュニオール監督が、サンパウロの監督を辞めてセレソン(ブラジル代表の愛称)を指揮することに。今年に入って4度のフレンドリーマッチでは、エンドリッキらの活躍もあり、イングランドとメキシコに勝ち、スペインとアメリカに引き分けている。

 かつてサントスを率いていた頃にネイマールをベンチに留めておいたことで、解任に追い込まれた経験を持つ現代表指揮官は、就任に際し「負傷中のネイマール抜きで歩みを進めていかなければならない」と殊勝なことを言った。

 結局、昨年10月に左ヒザに重傷を負った現在32歳のアタッカーは、本大会に間に合わなかったが、これ自体はもはや大きな問題ではないだろう。前線にはヴィニシウスやロドリゴ、ラフィーニャ(バルセロナ)、エンドリッキら、32歳のネイマールより質の高い攻撃手がいるのだ。懸念すべきはむしろ、中央で構える本格派ストライカーの不在ではないだろうか。

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