鎌田大地を手放すつもりは毛頭ない ラツィオ番記者が明かすチームの方針と期待 (2ページ目)

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella(『ラ・ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【唯一、気になるのは契約の形】

 たとえばフェリペ・アンデルソン。2013年に20歳でラツィオにやって来た彼だが、1年目はひどかった。出場試合数はたった13で、ゴールはなし。ヨーロッパリーグ(EL)では重要なPKで失敗し、経験不足を非難された。しかしその翌年、ステファノ・ピオリが監督に就任すると、リーグ戦で10ゴールをマークし、ブラジル代表の座も手に入れた。このエピソードからわかるのは、"ラツィオは投資した選手の成長を待つことができるチームである"ということだ(特に高額な選手については)。

 第二は鎌田のプレースタイルだ。マウリツィオ・サッリは直近のリーグ戦8試合で、鎌田を6試合で途中出場させ、2試合は完全にベンチに温存した。彼が最後にスタメンに入ったのは、9月のユベントス戦にまでさかのぼる。この試合の鎌田は、中盤でボールをとり戻し、ルイス・アルベルトにパスを出し、初アシストを決めた。

 ただ、これは鎌田らしいというよりは、ゲンドゥージ風のプレーだった。鎌田は自分からボールを入れ、散らし、ゴールエリアで存在感を示すことをより得意とする。これができるのはラツィオの中盤には鎌田しかいない。だからこそ、今の鎌田には売却の危機はない。リーグはまだ始まってからまだ3カ月しか経っていない。サッリズムを理解するには難しい。ベンチにサッリがいる限り、慣れるのに時間がかかるのは予測済みだ。

 唯一、引っかかるのが契約の形だ。鎌田の契約期間は4年だが、1シーズンプレーした後、あと3年残るかどうかを、2024年6月に決めることができるオプションがついている。

 このオプションについては、1カ月前までは単なる形式的なものに過ぎないと思われていた。しかし今は、それに関していろいろな噂が飛び交っている。特に鎌田が出場の少なさに不満を漏らしたというニュースが伝えられた後は、彼をほしがるチームの具体的な名前まで浮上してきた。ただ、ラツィオに鎌田を手放すつもりは毛頭ない。この1月においても、6月においても、だ。特にサッリは鎌田がチームを去ることを望まない。

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