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鎌田大地を手放すつもりは毛頭ない ラツィオ番記者が明かすチームの方針と期待 (3ページ目)

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella(『ラ・ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【中盤に同じタイプの選手はいない】

「セリエAを熟知し、ローテーションに完全にフィットしさえすれば、彼は多くのことを与えてくれる。我々にとって鎌田はチームの基礎となる存在だ」

 サッリは繰り返しこう言っている。たぶん、解決が一番難しいのは戦術的な問題だろう。鎌田自身もつい最近、インタビューで「自分の唯一の問題は、戦術的に適応すること。正直に言うと、これほど出場機会が減るとは予想していなかった。チームが求めるのはルイス・アルベルトを助けることができるフィジカルな選手だということはわかっている」と述べている。

 フィジカルな選手-それはすなわち、ゲンドゥージとマティアス・ベシーノである。このふたりが、鎌田がラツィオで活躍する障害になっていることは確かだ。ゲンドゥージは絶好調で先発出場を続けており、ラツィオにとって非常に重要であるローマとのダービーマッチでも活躍した(結果は0-0だったが)。一方、鎌田はこの試合で最後の10分間しかプレーしなかった。

 チームの流れは、このように一見、鎌田にとって逆流になっているように思われるが、チームメイトたちの鎌田への信頼は厚い。スペイン代表とバルセロナ双方で世界の頂点に立ったことのあるペドロはこう言う。

「鎌田にはすばらしい才能がある。今のところ、彼にあまりそれを発揮する場は与えられていないが、それでも我々を大いに助けてくれる」

 カギはこの"助ける"という言葉にある。先にも述べたように、ラツィオの中盤には鎌田と同じタイプの選手はいない。ゲンドゥージはフィジカルでプレーは堅実、シュート力もあるし、先を読むのもうまい。しかし他の選手にいいボールを出すことは少ないし、今のところゴールも少ない。ベシーノも同じだ。

 唯一、ルイス・アルベルトだけはラツィオのプレーの手綱を握っているので、彼からレギュラーの座を奪うのは不可能だろう。だが、鎌田はサッリのシステムに、ゴールとアシスト、とりわけトレクアルティスタ(トップ下)としてゴール前に上がることを保証してくれる特異な存在だ。その能力でチームを大いに助けることができる。実際、そのことはもう何度も彼自身が証明している。だからラツィオは、彼がチームのプレーに入り込めるようになるのを待ち続けている。鎌田はこれまでリーグ戦とCLを合わせて13試合に出場している。決して多いとは言えないが、対戦相手を理解するのには役立っているだろう。

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