鎌田大地を手放すつもりは毛頭ない ラツィオ番記者が明かすチームの方針と期待

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella(『ラ・ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

 ラツィオ界隈では今、人差し指と中指をクロスさせて鎌田大地を待っている。これは「幸運を祈る」のジェスチャーだ。代表戦でミャンマーを相手に見事なミドルシュートを決めたものの、その後、ケガをして退場、ラツィアーレたちは彼の体調を心配している。なぜならこの代表ウィークが終われば、ラツィオには、リーグ、チャンピオンズリーグ(CL)、コッパ・イタリアと、たて続けにハードな戦いが待ち受けているからだ。これらすべてでラツィオがより高みに行くには、鎌田の存在は不可欠だ。鎌田はこの夏の最も重要な補強選手のひとりであり、ナポリ戦でのゴールでサポーターのハートをつかんでいる。
 
 ただ、最近の試合では出番は決して多いとは言えず、鎌田は難しい時を過ごしている。一方、中盤での最大のライバル、マテオ・ゲンドゥージは試合のたびに拍手喝さいを浴びている。鎌田の進む道は思ったよりも平坦ではなさそうだ。鎌田が6月でラツィオを去るのではと言う者もいる。

 ただし、今、鎌田が置かれている状況は、周囲が思っているほど彼にとって不利なものではない。それを理解するには、まずは以下のことを頭に入れてほしい。

ミャンマーと戦った後、ケガのため日本代表を離脱した鎌田大地(ラツィオ) photo by Sano  Mikiミャンマーと戦った後、ケガのため日本代表を離脱した鎌田大地(ラツィオ) photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る 第一に、鎌田はラツィオの会長クラウディオ・ロティートのお気に入りだ。この夏に強力に鎌田獲得を推進したのは、他でもない会長自身だった。11月に入ってからのあるインタビューで、会長は今夏獲得したすべての新加入の選手について語ったが、彼の鎌田評はポジティブなものだった。

「彼の活躍の時は遅からず訪れると私は確信している。とても強い選手で、我々は皆、彼のことを大事に思っている。非常にいい形でスタートを切り、その後、少しスピードが落ちただけだ。彼がチームにフィットする時は必ずやってくる」

「我々は彼のことを大事に思っている」という言葉の裏には、ロティートの強い気持ちが込められている。昔気質の会長は、選手の真価を知ることに長けており、そのためには待つことが必要なことも知っている。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る