「メッシと対戦してみたい」 GK高丘陽平が語るMLSでの刺激的な日々と自らの変化 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

【メッシとの対戦は?】

 日々の「世界との遭遇」にスキルは磨かれるのだろう。

「メキシコのクラブとはカップ戦でやったのですが、MLSのクラブとはまた違って、いやらしさというか、判断を変えるずる賢さもあって、"サッカーをしているな"と思います」

 そう語る高丘は充実感を滲ませた。現地の生活様式に適応。朝、昼はクラブハウスで食事し、夜は自炊が基本だという。茹でた鶏の胸肉、パプリカやグリーンリーフのサラダ、豆腐にキムチ、ご飯とお味噌汁が定番。チームメイトに食事に誘われた時は基本的に断らず、パブでコミュニケーションを取る機会は大事にしている。

 ちなみにチーム移動はすべてチャーター機。空港での面倒な手続きは一切要らない。バスが常に飛行機に横づけされ、ホテルからスタジアムまで運んでくれるという。

「(セントルイス・シティ所属でMLSオールスターのスイス代表、ロマン・)ビュルキというドルトムントでチャンピオンズリーグとかも戦っていたGKが、『いいプレーしてるね』ってインスタでメッセージをくれました。対戦した時も、向こうから『ユニフォーム交換をしよう』って。そういうのは素直にうれしいです」

 高丘はそんな刺激を受けながら、理想とする"穴がない"絶対的GKに少しでも近づこうとしている。

「メッシとは対戦してみたいです。その経験は限られたものなので」

 ホワイトキャップスは現在、西地区5位でMLSカップ出場が有力になっている。インテル・マイアミはメッシ次第で一気に順位を上げてくるはずで、対戦は必至か。高丘がメッシのシュートを防ぎ、タイトルへ――。その恍惚は、GKとして何にも代えがたい。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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