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「メッシと対戦してみたい」 GK高丘陽平が語るMLSでの刺激的な日々と自らの変化 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

【リキ・プッチのシュートをストップ】

 その経歴を振り返っても、実直なトレーニングと挑戦精神で勲章を得てきたことがわかる。今回のMLS挑戦も、その覚悟があったからこそ、早く軌道に乗ったと言えるだろう。

「(MLSでは)質のところで差別化はできているのかな、と思います」

 高丘は言う。

「たとえば、自分はビルドアップのところをこだわってやってきましたが、そこをこだわっていないGKが多くて、ラインで守るだけで、つなげそうでもバックパスを大きく蹴ってしまう。そこで違いは作れているかな、と。味方の8番(インサイドハーフ)やウィンガーにポンっと落とすようなキックを蹴れるGKはいないので」

 高丘のリベロプレーの質の高さは、過去の日本人GKと比べても秀逸なだけに、異国でも武器になった。言葉の問題はゼロではなかったが、現場用語はそのつど、身につけた。たとえばクリアは「Away」、危ないは「Man on」、フリーは「(You have )Time」など、実用的表現に修正した。他の細かい用語も、味方GKだけでなく、敵GKの指示の声にも耳を澄まし、それを取り入れた。

 高丘はMLSでカップ戦を含めて34試合に出場(9月22日現在)し、リーグの有力GKのひとりに数えられる。今年4月には月間MVPに選出され、クラブ史上最長の無失点記録を打ち立て、カップ戦のカナディアンチャンピオンシップでは優勝。すでにタイトルホルダーだ。

「新しいGKコーチの指導を受け、それで大きく変わってきたこともありますね。ボールに合わせてポジションを取るのではなくて、その行く先を予測してポジションを取るというか、先回りで修正していく感じで......」

 高丘は自らの変化を説明した。MLSは強度が高く(クロスや高さ、あるいはミドルシュートのパワーなど)、それに対応する必要があったが、そのプロセスで成長を感じたという。

「(ロサンゼルス・ギャラクシー戦で、バルサでもプレーし、MLSオールスターにも選出されたリキ・)プッチのミドルシュートをストップしたんですけど、周りから見たら、簡単に止めた、と見えると思うんです。でも、あれはGKコーチからの教えを落とし込んだものが凝縮されていて、プッチが持ち上がった時にシュートコース、ラインを読み、それに合わせて半身で下がり、足の運び方にも気をつけ、キャッチできました。今までとは景色が違っていますね」

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