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【ワールドカップ】サッカー日本代表のブラジル戦で蘇った1998年フランス大会の感覚 ベテランライターが振り返る28年間の成長

  • 後藤健生●文 text by Takeo Goto

連載第109回 
サッカー観戦7700試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」

 現場観戦7700試合を達成したベテランサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。

 北中米大会でじつに14大会連続のW杯観戦になる後藤氏。今回は、28年前の日本の初出場時からここまでの成長を振り返ります。

サッカー日本代表はラウンド32で強豪ブラジルを相手に佐野海舟が先制ゴールを決めた photo by JMPAサッカー日本代表はラウンド32で強豪ブラジルを相手に佐野海舟が先制ゴールを決めた photo by JMPAこの記事に関連する写真を見る

【ラウンド16以降、強豪同士のガチンコ勝負】

 今年のW杯は、ラウンド32まで観戦して帰国した。

 ラウンド16以降の熱戦を見ずに早々に帰国したのは、ドナルド・トランプ大統領下のアメリカにあまり長期に渡って滞在したくなかったこともあるし、現地にいても(費用面も含めて)移動が難しくて、あまり多くの試合を観戦できそうになかったからだ。

 さて、日本に帰ってから映像で試合を見ていると、スタジアムで観戦している時のように大きな流れはつかみにくいが、プレーのディテールについてはよく見ることができる。

 今年のW杯は参加国数が48まで拡大されたため、実力差が大きい試合も多く、グループリーグの間は「どうしても観たい」と思わせるような好カードは少なかった。さらに3位通過も可能だったために、ぬるい試合が多くなってしまった印象もある。もし「3位通過」がなかったとしたら、たとえば日本対スウェーデン戦の終盤などはヒリヒリするような真剣勝負になっていたはずだ。

 だが、さすがにラウンド16以降ともなると強豪同士の顔合わせが増え、試合の熱量はグループリーグ段階とはまったく違う段階に上がった。

 当たり前のことではあるが、強豪同士のガチンコ勝負の迫力はすごいし、世界最高クラスのFWとDFの1対1における虚々実々の駆け引きや、90分あるいは120分間互いにミスすることなく戦う精神的なタフネスぶりにも驚かされた。

 そんな、当たり前のことに今さらながら気づかされたのは、日本代表チームが決勝トーナメントの戦いを視野に入れて戦えるようになったからなのではないだろうか。

 つまり、上位同士の戦いはこれまでだったら"遠い世界の話"だったのに、今では日本がいつかは挑むべき身近なものになったのだ。そこに近づいたからこそ見えてきた、彼らとの"差"だった。

 そんな感覚でW杯の映像を見ていて、ふと気がついた。遠い昔にも同じような感覚を覚えたことがあった......。

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著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7700試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

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