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橋本拳人「W杯の日本代表については...今は語りたくない」 苦境でもスペイン挑戦を続行 「やめた時にサッカー人生を後悔したくない」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「ワールドカップの日本代表については......今は語りたくない。ひとつだけ言えるとしたら、やめた時にサッカー人生を後悔したくないって思っています。常にチャレンジする。ずっと自分はそうだったし、それでここまでは来られたので。リーガ1部は難しいですよ。でも、スペインサッカーはレベルが高いから楽しいし、その目標に向かってやれるか、やれないか。それを自分に問う日々は充実しています。ワールドカップ、チャンピオンズリーグは目指す最高峰だけど、その過程で後悔しないように......」

 その希望があるからこそ、Jリーグの有力クラブからの好待遇でのオファーや、欧州カップ戦にも出場するクラブからのオファーを断っても、スペインでのプレーにこだわった。いばらの道を行くのだ。

 橋本は2年弱プレーしたロシアで辛酸をなめている。ウクライナ侵攻の余波で、FIFAの外国人選手への特例措置で契約停止が決まり、フリーになったが、今や戦地の一部にまでなっている町で、将来が不透明になる怖い思いもした。どうにか帰国し、ヴィッセル神戸で3カ月プレー、J1残留に貢献したが、「裸一貫のつもりで」とスペインへ渡った。

 不退転の覚悟だ。だからこそ、ウエスカでの登録に時間がかかっても焦らず、じっくりと待ち続けた。

「辛いことがあったほうが、やり遂げた時の気持ちはいいはずで、サッカー選手として生きているっていう感覚はあります。自分は結局、そういう生き方が好きなんですよ」

 2年目のスペイン挑戦が幕を開ける。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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