久保建英はどうバルサを攻略するのか 前節も現地紙最高点、いまや1対1で対峙できるディフェンダーは? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori,/MUTSUFOTOGRAFIA

【マッチアップするのは攻撃型DF】

 後半も勢いは衰えなかった。56分、久保はカウンターから右サイドでボールを受けると、逆をとってディフェンスを外し、追いすがってきたところを引きつけ、左のシルバへ完璧なラストパス。60分にはマーカーと対峙しながら鋭い振りでニアに飛ばし、一瞬、ラインを越えたかと思う一撃だった。その直後、ミケル・オヤルサバルへのバックラインの前を横切るパスで、PKの疑いのあるチャンスを演出。終盤にもCKからバーに当たるシーンを作り、攻撃を引っ張った。

 久保は試合後、「前半最後の10分間は、コミュニケーションが足りなかった」と突然の不調で同点にされたことを悔やんでいる。ただ、彼自身は評価を高めた。ボールを受け、失わず、崩せるのは醍醐味だが、相手のカウンターをパスカットし、守備を攻撃に結びつけるなど、攻守両面で集中力を失わなかった。

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』の採点は両チームを通じ、唯一の三ツ星(星0~3の4段階)だ。

「タケはたいしたやつだよ。安心してピッチに立ってもらえる。正直、(移籍が決まった時のことを思い出すと)驚きだね」

 ラ・レアル在籍8年目になる生え抜きDFアリツ・エルストンドは『アス』紙のインタビューで、そう言って久保を称賛した。

「夏にやってきた初日は寡黙な印象だったので、できる限り早くチームに馴染むように助けようと思っていた。でも、次の日からしゃべるのがすごく好きだとわかって、話しながらすぐに仲良くなったよ。とても面白く、魅力的な奴さ。もちろん、選手として"スーパーな補強"だった。すごくよくやっているし、もっと喜びを与えてくれるはずさ」

 5月21日、久保は幼い頃を過ごした"古巣"バルセロナとの一戦を迎える。ラ・リーガ27回目の優勝を決めたばかりの相手であり、単なる1試合ではない。その一戦次第で、周囲はさらに騒がしくなるはずだ。

 はたして、久保はどうやってバルサを攻略するのか。

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