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久保建英はどうバルサを攻略するのか 前節も現地紙最高点、いまや1対1で対峙できるディフェンダーは? (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori,/MUTSUFOTOGRAFIA

 マッチアップするのは、同じバルサ下部組織ラ・マシア出身のアレックス・バルデ、もしくはジョルディ・アルバになるだろう。どちらも、攻撃型のディフェンダーであり、守備は鉄壁ではない。つまり、高い位置で久保がボールを受け、ふたりのいずれかと1対1になる瞬間が生まれたら、ゴールの予感が漂うことになる。

 現在、ラ・リーガで久保と1対1で対峙できるディフェンダーは、ロナウド・アラウホ(バルセロナ)、ダビド・アラバ(レアル・マドリード)のふたりくらいだろう。どのチームも、今や"2人体制"で久保に対処している。バルサも、ガビ、アンドレアス・クリステンセンなどが必死になって、カバーに回ることになるかもしれない。ただ、そうなればバルサの攻撃力は削がれることになる。

 ひとつの焦点になるのは、久保とシルバのレフティ同士の連係か。ジローナ戦の2点目のように、釣瓶の動きで相手の背後を取って一撃を食らわすパターンは、「バルサのお株を奪う」という意味でも有効になる。一瞬のタイミングでクロスを上げ、然るべきポイントに入るのは、簡単そうに見えて神がかった技術と呼吸が必要で、ふたりはその境地に立っているのだろう。さらにオヤルサバル、アレクサンダー・セルロート、ミケル・メリーノなど、他のレフティとの関係性もよくなっている。

 カンプ・ノウの大歓声を、久保は沈黙させられるか。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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