マラドーナ時代以来33年ぶりセリエA優勝目前「ひとつの生き方」とまで言うナポリ、復活の要因 (4ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by Insidefoto/AFLO

 今、ナポリの街ではそれと同じことが起きているとペトラッツォーロ記者は言う。

「とにかくものすごく盛り上がっていますよ。何しろマラドーナとともに勝ち取ったふたつのスクデットのあと、33年間、待ち望んだ勝利ですから。もちろんその間もナポリというチームに対する愛は決して陰ることはありませんでした。どんな順位にあろうともナポリの人々はチームを見捨てたりはしません。でも今はチームへの愛はより大きくなっています。街はすでにナポリカラーに塗り替えられています。あとは優勝が確定し、喜びを爆発させるだけです」

 イタリアには、「望んでいることを口にすると、それが叶わなくなってしまう」というジンクスがある。とりわけナポリの人は験を担ぐので、これまで優勝の可能性があっても、決してそれを言葉にすることはなかった。ところが今年は違う。すでにナポリの街はお祭り騒ぎだ。町中にたなびく旗には堂々と3つ目のスクデットがついている。

「2位以下とのポイント差はあまりにも明白で、それがナポリ人の迷信深さをも超えてしまったようです。今、街の雰囲気は最高です。ぜひ日本の皆さんにも、見てもらいたいですね」(ペトラッツォーロ記者)

 ナポリが33年ぶりの優勝を果たした瞬間、いったい何が起こるのか、今から楽しみでならない。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る