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現役引退の元ブラジル代表ジョーに名古屋グランパス退団時に何があったのか。ブラジルへ突如帰国したその言い分とは? (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【ブラジルでも疑問視】

 そのため、ジョーの電撃移籍はブラジルでも疑問を持って迎えられた。当時、33歳という年齢で、高い報酬をもらっていて、まだ契約期間を残していたというのに、果たしてジョーはなぜ、名古屋を去りブラジルに帰ったのだろうか。

 コリンチャンスは確かにサンパウロの名門で、ジョーが日本に行く前に所属していたチームである。だが、チームはお世辞にも経済的に安定しているとは言えない。2014年のW杯時に建設したスタジアムの維持費も払えていない。借金も多く、返済の遅れで訴えられて多くの裁判を抱えている。コリンチャンスでの報酬の支払いはブラジルの通貨レアルであり、本当に支払われるかどうかの保証がない。

 私はこの移籍の裏に何があるのかを知りたいと思い、まず知り合いを通じてジョーの弁護士であるベレーノ・タンヌーリ氏にジョー側の主張を聞くことにした。

 すべては2020年4月の初旬に、ジョーがチームの制止を聞かずブラジルに帰国したことから始まった。弁護士によると、ジョーがブラジルに帰ったのは子供たちが心配だったからだと言う。

「その時、リーグ戦は中断されていました。チームは少なくとも15日間は練習を行なわないが、全員日本に留まるようにと言ってきたそうです。しかし、彼とその妻はブラジルに2人の子供を残してきていて、国境が封鎖され子供たちに会えなくなるのではと恐れていました。

 実際、すでにブラジルと日本の間をつなぐ飛行機もどんどん欠航が決まっていき、我がクライアントはかなり不安だったようです。子供たちに会えなくなるのではないかと、いてもたってもいられず、会えるうちにブラジルに帰っておこうと思ったのです。まずはオランダに飛び、そこからブラジルへと向かいました」

 その後、状況は急展開する。

 4月の末、グランパスはジョーに、すぐに日本へ帰国するよう指示を出した。そこでジョーは帰りのチケットを購入し、チームには数日後に日本に戻ることを連絡したという。

 その後のことを弁護士はこう話す。

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