プレミアリーグの優勝はアーセナルかマンチェスター・シティか。水沼貴史が優勝争いと三笘薫所属のブライトンなど後半戦注目の10クラブを解説

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

水沼貴史のプレミアリーグ解説 後編/リーグ後半戦注目の10クラブ

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アーセナルが首位に立ち、いわゆるビッグ6以外のチームも健闘している今季のプレミアリーグは、毎週非常に面白い試合の数々が展開されている。各チームの特徴と後半戦の見どころを、プレミアリーグ中継の解説を務めている水沼貴史さんに紹介してもらった。

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【チームの一体感で突き進むアーセナル】

 今季のプレミアリーグはアーセナルが19年ぶりに優勝できるかが最大の焦点になっている。2019年12月にミケル・アルテタが監督に就任し、若い選手たち中心に舵を切り、クラブもファン・サポーターも我慢をしながらやり続けてきたことがようやく実を結んできた。

アーセナルはチームの一体感を見せ、19年ぶりのプレミアリーグ優勝に向け突き進んでいるアーセナルはチームの一体感を見せ、19年ぶりのプレミアリーグ優勝に向け突き進んでいるこの記事に関連する写真を見る 夏にFWガブリエル・ジェズス、DFオレクサンドル・ジンチェンコの獲得、DFウィリアム・サリバのローンバック、冬にはMFレアンドロ・トロサール、MFジョルジーニョを獲得して非常にチーム内での競争が激しくなり、戦力に厚みを加えることができた。

 そんななか、MFブカヨ・サカ、FWガブリエル・マルティネッリ、MFマルティン・ウーデゴールら若い力が躍動し、チームは本当に力をつけてかつてないほど一体感が生まれている

 ピンチを防いだ時は、守備陣が互いに鼓舞しあい、プレーが止まればアルテタのところに選手たちが集まって話を聞いている光景を、事あるごとに目にしている。これは「俺は関係ない」と思っている選手がいないという証だと思うし、全員が目標達成のために同じ方向を向けている何よりの証拠だと思う。

 それは若いチームゆえに、少しでも歯車が狂えばチームは崩れてしまうという危機感もあるのかもしれない。でもそれがいい緊張感を生んで、一体感の面でプラスに働いている。

 さらに今季からウーデゴールが新キャプテンとなり、チームを声とプレーでよく牽引しているし、そこにMFグラニト・ジャカやMFトーマス・パーティー、ジェズス、ジンチェンコらもリーダーシップを発揮し、より団結力は強固なものになっている。

 ジェズスが怪我で離脱したことで失速の心配もあったが、FWエディ・エンケティアがうまく補っているし、怪我がちなトーマスの穴はジョルジーニョが違った持ち味で埋めている。リーグも半分を折り返して疲労や調子の波はやや出てきたとはいえ、穴のないチームに仕上がっている。

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