プレミアリーグの優勝はアーセナルかマンチェスター・シティか。水沼貴史が優勝争いと三笘薫所属のブライトンなど後半戦注目の10クラブを解説 (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【中位にも魅力的な好チーム】

 今季はニューカッスルをはじめ、いわゆるビッグ6と呼ばれているクラブ以外の躍進も印象的なシーズンとなっている。上位のクラブでもあぐらをかいていれば足元をすくわれる可能性は十分にある。

 三笘薫が所属するブライトンはチームとしてしっかりとデータを取って、そのデータをもとに選手や監督を連れてくるので、監督が変わったり、主力を引き抜かれたとしてもチーム自体は大きく変わらない。今季はむしろ伸びていて、三笘の活躍もあってインパクトのある躍進を遂げている。

 ブレントフォードもデータ重視のクラブで、トーマス・フランク監督は分析に長けて相手を非常に困らせる戦いができる。3―5―2で相手のよさを消しながら守り、前線のFWイバン・トニー、FWブライアン・エンベウモという強力な2トップを生かす戦いで席巻している。

 昇格組のフラムもここまでの飛躍は賞賛に値する。エースのFWアレクサンダル・ミトロビッチはフィジカルの強さや駆け引きのうまさで相手を上回る、ストライカーらしいストライカーで見ていて楽しい選手だ。ほかにもMFウィリアンやMFアンドレス・ペレイラ、MFジョアン・パリーリャなど、選手は粒ぞろいで終盤もかき乱す存在になり得るだろう。

 そうした好チームが多いなかで、アーセナルとマンチェスター・シティによるタイトルレースは正直読めない。優勝すればあの無敗優勝以来となるアーセナルには大きなプレッシャーがかかっている。

 一方でマンチェスター・シティはそのプレッシャーに慣れている。しかし、100を超える財務規定違反で起訴され、リーグポイントの減点や最悪の場合はリーグから除名という話も出ている。

 いろんな意味でどんな結末を迎えるか予測不能な今シーズンのプレミアリーグは、後半戦も目が離せない。

水沼貴史 
みずぬま・たかし/1960年5月28日生まれ。埼玉県出身。浦和南高校、法政大学で全国優勝を経験。JSL日産自動車でも数々のタイトルを獲得し、チームの黄金時代を築いた。日本代表では国際Aマッチ32試合出場7ゴール。Jリーグスタート時は横浜マリノスで3シーズンプレー。引退後は、横浜F・マリノスのコーチや監督を務めた。現在は解説者として活躍中。

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