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現役引退の元ブラジル代表ジョーに名古屋グランパス退団時に何があったのか。ブラジルへ突如帰国したその言い分とは? (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【2度目だった無断帰国】

「ジョーは月曜日に日本に着く予定でした。しかしそれより前の土曜日にチーム側は突然契約の解除を通告してきたのです。彼が帰国の途に就こうとしていたのは十分承知していたはずなのに!」

 彼によると、グランパスはその理由を告げてこなかったと言う。またジョーは日本に戻り次第、報酬の残りの100万ドル(300万ドルはすでに領収済みだった)を受け取るはずだったが、契約が解除されたためその支払いもされなかったという。

 つまり弁護士の主張によると、ジョー側はグランパスを去るつもりはなかったということになる。

 そしてグランパスから契約の解除を言い渡され、ジョーは古巣のコリンチャンスに打診したと言う。ただし、もともとこのシーズンでグランパスとの契約が満了後はコリンチャンスでプレーするつもりでもあったようだ。

 実は5月の後半ごろから、コリンチャンスでは、ジョーが戻ってくるという噂が飛び交っていたという。しかし、なぜ金銭的に安定したグランパスを捨てて、不安定なコリンチャンスに戻ってくるかが誰にもわからず、番記者によると、当初は「コロナによる世界的経済危機でジョーの給料を払えなくなったから」という根拠のない噂がまことしやかに流れていたという。

「ジョーがブラジルに帰ったのは不可測なパンデミックのせいです。コロナが世界に広がっていくなか、誰も何が起こるかはわかりませんでした。それに彼が帰国中に試合はなかったのだから、クラブに何の損失はなかったはずです。FIFAで争うならばと、我々はジョーの残りの報酬100万ドルを請求しました」

 一方、名古屋側にも大いに言い分がありそうだ。ジョーがチームに無断で帰国したのは、実はこれが初めてではない。彼は2020年1月にもブラジルに無断で帰ってしまっている。チーム側にとってこれは2度目の規約違反だ。

 そのことを、くだんの弁護士はこう説明する。

「その時はジョーがケガをしていたので、監督は、ジョーはチームとプレシーズンキャンプに参加する必要はないと言ってきました」

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