カタールW杯の優勝国を識者5人が予想。フランスかブラジルかアルゼンチンか、最も人気を集めたのは? (2ページ目)

  • photo by JMPA

【前回王者は地力が違う】

小宮良之(スポーツライター)

◎フランス 
○ブラジル 
▲アルゼンチン 

 大番狂わせが多い大会だが、ベスト8の顔ぶれは「順当」と言える。決勝トーナメント1回戦でスペインをPKの末に下したモロッコが、唯一のサプライズか。

 優勝予想の本命はフランスだろう。ポーランド戦は大会取材を続けるなか、最高のクオリティだった。ポーランドの整然と力強い守りを、キリアン・エムバペやウスマン・デンベレなど個の力で突き崩す様子は圧巻。

 カリム・ベンゼマがケガで大会を棒に振ったが、オリビエ・ジルーが健闘。中盤もポール・ポグバ、エンゴロ・カンテの不在は感じさせず、オーレリアン・チュアメニ、アドリアン・ラビオはより攻撃のテンポを作れる。

 バックラインの人材の豊富さは彼らのストロングポイントで、ロベルト・レバンドフスキも1失点に封じた。選手層が分厚く、フォーメーションもいくつもあり、王者は地力が違う。

 対抗はブラジルだ。フランスと並ぶ戦力を有している。スイス戦を取材し、驚くほどのインパクトはなかったが、守備が安定し、勝負強さも感じさせた。一方で、ブラジル特有の華やぐ雰囲気はない。ネイマールが全快したら、カナリア軍団のピースが揃うか。

 穴はアルゼンチン。チームとしてデザインされておらず、各々が奮闘する形で、極めて不規則と言える。しかし勝負どころを知る選手が、メッシと共に優勝するために全力を捧げ、奇跡的プレーも生み出している。メッシがワールドカップを掲げる、という絵は美しいはずだが......。

 個人的な興味はポルトガルである。ロナウドが先発を外れて騒ぎになるなどカオスだが、むしろそれがいい刺激になっている。スイス戦でハットトリックのゴンサロ・ラモスなどラッキーボーイも台頭。ジョアン・フェリックスも要チェックのファンタジスタで......。

 残り3試合勝てば、栄光のW杯。しかし、ここからの道が険しいのだ。

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