エムバペがポーランド戦後に初めて口を開いた真意。量産するゴールや大会MVPにも興味なし

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 キリアン・エムバペの勢いが止まらない。

 決勝トーナメント1回戦が終わり、ベスト8が出そろったワールドカップだが、個人タイトルに眼を向けると、フランスのエムバペが得点王争いで頭ひとつ抜け出し、トップに立っている。

 エムバペはここまで全4試合に出場(うち3試合先発出場)し、5ゴールの荒稼ぎ。すでに1試合2ゴールを2試合で記録している。

 しかも、ただ多くのゴールを決めているだけでない。その内容も、巧みなワンタッチゴールあり、豪快なミドルシュートありと、一瞬スタンドが静まり返ったあとに、ワッと沸くようなインパクトの強い一発ばかりだから驚かされる。

 ベスト8進出を決めた決勝トーナメント1回戦のポーランド戦(3-1)でも、目の前のDFが間合いを詰めてこないと見るや否や、その瞬間的なスキを見逃さず、強烈なシュートを、それも2本も、文字どおりゴールに叩き込んでいる。

 決められたポーランドの名手、GKヴォイチェフ・シュチェスニーも、これにはお手上げといった様子だった。

W杯連覇へ向けてゴールを量産しているフランス代表のエムバペW杯連覇へ向けてゴールを量産しているフランス代表のエムバペこの記事に関連する写真を見る

 MFポール・ポグバ、MFエンゴロ・カンテら、主力選手にケガが相次ぎ、大会直前にはセンターフォワードとして期待されていた今年のバロンドール受賞者、カリム・ベンゼマまで失ったフランス。それでも十分ワールドカップを戦える戦力がそろっているとはいえ、さすがに控え選手の層は薄くなり、前回大会に続く連覇は難しくなったかに思われた。

 だが、実際に大会が始まってみると、エムバペは初戦から、桁違いのスピードで相手選手をぶち抜くドリブルと、パワフルかつ正確にゴールを射抜くシュートで得点を量産。チームもまた、メンバーを入れ替えたグループリーグ第3戦のチュニジア戦(0-1)を除き、順調に勝利を重ねて、準々決勝へと駒を進めてきた。

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