エムバペがポーランド戦後に初めて口を開いた真意。量産するゴールや大会MVPにも興味なし (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 とはいえ、ピッチ上では絶好調のエムバペも、ひとたびピッチを離れると、突如お騒がせ男に早変わり。グループリーグ初戦のオーストラリア戦(4-1)と、続く第2戦のデンマーク戦(2-1)でいずれもゴールを決め、マンオブザマッチ(その試合のMVP)に選ばれたにもかかわらず、受賞者に義務づけられている記者会見への出席を拒否。その理由についてさまざまな憶測が流れる結果となり、せっかくチームともども順調に試合をこなしているというのに、フランス代表の周囲は少なからず不穏な空気が覆い始めていた。

 ところが、そんなエムバペが突如変心。今大会で初めてメディアの前でコメントしたのは、前述のポーランド戦のあとのことだ。この試合でもマンオブザマッチに選ばれたエムバペは、多くのテレビカメラや記者が待つ部屋に入ると、質問に答える形で口を開いたのである――。

 試合後のスタジアム内にあるカンファレンスルーム。本来は両チーム監督と、マンオブザマッチに選ばれた選手の計3人が記者会見を行なうが、出席していた記者たちにしてみれば、「どうせまた、エムバペは来ないんでしょ?」。ややシラけた空気が漂っていた時だった。

 突如開いた扉から、マンオブザマッチのトロフィーを手にユニフォーム姿のエムバペが入ってくるや、今度は「おいおい、来るのかよ」。たちまち記者たちは色めき立った。

 まずは今日の試合について。

「準々決勝へ進出できたし、いい試合だった。ポーランドはタフな相手だったけれど、うまく試合をコントロールできた。前半は難しかったけれど、最後は勝ててよかった」

 続いて、過去2回記者会見を欠席した理由について。

「大会に集中したかったからだ。記者との間に問題があったわけではない。だから今、この場に来ている。この大会は夢の大会。フィジカル的にも、メンタル的にも準備してきた。ワールドカップを勝つことが、今は最も重要なことだ」

 そして最後に、個人タイトルについて。

 前回2018年大会ではヤングプレーヤー賞を受賞しているが、今回は大会得点王を狙っているのか。そんな質問をされると、エムバペは"食い気味"に「正直、答えはノーだ」と即答し、こう続けている。

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