エムバペがポーランド戦後に初めて口を開いた真意。量産するゴールや大会MVPにも興味なし (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

「自分の唯一の目標は、優勝すること。だから、まずは次の試合に勝つことだ。ここには勝つために来ているのであって、ゴールデンボール(大会MVP)だろうが、ゴールデンブーツ(大会得点王)だろうが、そんなものを獲るために来ているわけではない。この大会で勝つ(優勝する)ため、フランス代表のために来ている」

 通例どおりに3つの質問だけに答えると、足早に会見場をあとにしたエムバペ。プレー同様、キレのいい電光石火の早業だった。

 今大会では初めて出席した記者会見のなかで、エムバペが何度か繰り返し話していた言葉が、「勝つために来ているので、大会に集中したい」というもの。そのために、ナーバスになりすぎるのはよくないが、現在のゴール量産体制を見る限り、ここまでうまく集中力を高め、調子を上げることができているようだ。

 フランスが次の準々決勝で対戦するのは、イングランド。ベスト8にして早くも優勝候補同士が潰し合う。

 今大会では多くの選手が得点を挙げ、どこからでも点が取れるイングランドに対し、エムバペとFWオリビエ・ジルー(得点ランキング2位タイの3ゴール)のふたりだけで、チーム総得点9のうち8点までを決めているフランス。対照的な得点パターンの両者だが、高い得点力を誇るという点では共通している。激戦必至の大一番だ。

 はたしてフランスは、優勝した前回大会に続くベスト4進出なるのだろうか。

 そのカギを握っているのが、得点ランクトップをひた走る、背番号10であることは間違いない。

【著者プロフィール】浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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