【Jリーグ】引退・柏好文が病と戦った現役ラストシーズンを振り返る「怖さがあった」
引退・柏好文インタビュー@前編
(ヴァンフォーレ甲府、サンフレッチェ広島)
清々しい表情に、駆け抜けた16年の軌跡がにじんでいた。
2010年にプロのキャリアをスタートさせたヴァンフォーレ甲府で、現役を引退する決断をした。2014年から11年間在籍したサンフレッチェ広島では、現・日本代表監督である森保一のもとで、2015年のJ1リーグ優勝に貢献した。
引退を決意した柏好文に今の心境を聞いた photo by ©VFK2025この記事に関連する写真を見る「もうホントに感謝しかないですね。甲府でも、挨拶に行った広島でも、会う人、会う人から『ありがとうございました』って言われましたけど、むしろ『こっちこそ』という思いになりました。そのたびに、長い間、サッカーをやってきてよかったなって思ったし、振り返るとつらいことなんてほとんどなかった。
この1年は、たしかにきつかったけど、あっという間で。ホントはね、もっときつかったって言いたいし、たしかに身体も心もキツかったですけど、今思えば、充実していたし、楽しかった。
37歳で初めて大きな病気になり、サッカーができることが当たり前じゃないと知った。だからこそ、ホントに感謝というか。言葉でいうのは簡単ですけど、最後にもう一度、自分がプレーしながら感じたのは、ピッチに立てることの喜びでした」
病(やまい)と戦った選手としての最後の1年をも、「楽しかった」と言いきる。そこに柏好文という選手の性格であり、姿勢が表れていた。
「フォークトー小柳ー原田病」
聞きなじみのない病を発症したのは、甲府に戻ってきて間もない1月初旬だった。
「(2024シーズンを終えて)広島を契約満了になって、その時点で選手をやめるか、甲府に戻ってプレーするかの二択でした。たとえほかのJ1リーグのチームからオファーがあったとしても、サッカーをやっていくモチベーション、やり甲斐、込み上げてくるものが、自分としては甲府でプレーする以外になかった。
ここで生まれ育って、プロとしてのキャリアもスタートさせた場所。今の自分があるのも、すべてはここがあるからという思いがあった。そのクラブでもう一度、プレーすることができるのであれば、自分が11年間、J1で培ってきたことを、少なからずチームに還元できる自信もありました」
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著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。





