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【Jリーグ】引退・柏好文が病と戦った現役ラストシーズンを振り返る「怖さがあった」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【人生がかかっているんですよ!】

 1カ月の入院生活を苦に感じることなく、パルス療法すら前向きで、「延長したかったくらい」と笑って振り返ったのは、そうしたクラブの働きかけや家族の支えがあったからだ。

「当時はまだ広島にいた妻と子どもも心配してくれていましたけど、がんばるって決めてからは支えてくれました。最初は外の景色もぼやけて全然見えなかったのが、治療を続けて次第に見えるようになっていって、窓の外を見たら病室から富士山が見えたんですよね」

 点滴で投与していたステロイドは、退院後に錠剤へと切り替わった。次第に練習場に足を運べるようになると、チームメイトが練習する横でウォーキングやジョギングを開始した。苦しかったのは、2度に及ぶ再発だった。

「まずは退院して1カ月くらいの時に再発したんです。グラウンドの線もゆがんで見えたり、白い車が黄色く見えたりで、色も認識できなくなる。その時点で、また振り出しに戻るから、3カ月で復帰するなんて到底無理だろうなって」

 先が見えず、担当医に思いの丈をぶつけたこともあった。

「こっちは遊びじゃないんですよ! 仕事が、生活が、人生がかかっているんですよ!」

 担当医が指す完治は、あくまで日常生活を取り戻すことを意味していた。アスリートとしての完治は前例がなかったことも苦労した。

「誰にも聞けないんですよね。今はこういう状態だけど、次はどうすればいいかは未知の領域。ドクターもトレーナーもわからないから、自分で判断していくしかなかった。参考資料には、一般的には薬がこれくらいまで減ったらウォーキングをしてもいいって書いてあったんですけど、その時は自己判断ですでに全体練習に合流していましたから」

 数えきれないほどの薬を飲んでいたというが、ステロイドの影響から水を飲んだだけでも体重は増加した。一時はベストからはほど遠い8kgも体重が増え、身体もむくんでいた。

「何がショックだったかって、体重が増えたことが心に堪えましたね。夏場の暑い時期に練習をやっているのに、水を飲んだだけでも太ってしまって。むくみも感じるし、手も足もパンパンでした」

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