【Jリーグ】引退・柏好文が病と戦った現役ラストシーズンを振り返る「怖さがあった」 (2ページ目)
【最低でも完治するのに3カ月】
チームが始動した時から、目が充血していて、わずかだが違和感を覚えていた。眼科を受診するとアレルギーと診断されたが、翌朝になると目がかすんでいた。それでも練習に参加したが、翌朝にはさらに目が見えづらくなっていた。その症状を、彼は「お風呂に入って目にたくさん泡がついているような感じ」と表現した。
「全体的にぼやけているんですけど、そのぼやけ方がおかしいというか。身体から下半分は見えるけど、上は見えないみたいな。そこから症状が悪化した時は、視界の半分が黒くて、もう半分は白くなっているみたいな感じでした」
チームに相談し、提携先の病院で診てもらうことになった。自ら精密検査を訴え、半日以上かけて実施した結果、「フォークトー小柳ー原田病」と告げられた。
自分の免疫が身体の色素細胞を攻撃する自己免疫疾患で、目だけでなく、耳、皮膚、髄膜など、色素細胞の多い組織に炎症を起こす病気だった。担当医からは「最低でも完治するのに3カ月は要する」と言われ、即入院することになった。
症状を抑えるために、まずはステロイドを点滴で身体に投与(パルス療法)することになった。聞き慣れない病名と過酷な治療法、先が見えない症状に、クラブには『チームに迷惑をかけるのでやめます』と伝えた。
サッカーどころか、日常生活を取り戻せるのかどうかもわからない。「それくらい目を失うことへの怖さがあった」と振り返る。
不安を抱え、光を失っていた彼を奮起させたのは、大塚真司監督からの電話だった。
「やめるって言ったらしいけど、そんなこと言うな。甲府のためにという想いで帰ってきてくれて、2日間、一緒に練習しただけでも、チームの力になれる大事な選手だということは示してくれていた。待っているから、しっかり治して戻ってきてほしい」
甲府の佐久間悟社長からも同様の言葉をかけられた柏は、「必要とされている」と実感して前を向いた。
「ショックはショックでしたし、どんな過程が待っているかは自分でもわからなかったですけど、担当医も『完治した症例もあるから、しっかり治しましょう』と言ってくれて。そこで自分自身も、病気を受け入れて治そうと思えました」
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