菅原由勢、オランダ屈指の右SBに成長中。「日本代表は頼んで入る場所じゃない。ポジションは奪うもの」 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

【クロスで数字を残したい】

 今季の菅原には、観客のため息を誘う、いわゆる"がっかりクロス"と呼ばれるミスキックがほとんどない。以前、本人に「クロスの精度をどうやって高めたのか?」と訊いたことがあった。「とにかく毎日、クロスを練習しています」と彼は言った。

「僕はクロスを武器にしているので、そこで数字を残したいという強い思いがある。なので、ともかく毎日、練習するようにしています」

---- 「僕は毎日、練習しています」と言うのは簡単じゃないですか。でも、日本代表の合宿で植田直通選手(ニーム)が居残り練習でヘディングを繰り返しているのを見ると、「トッププレーヤーはこういうことをコツコツやっているんだな」と思いました。

「そうですよ。たまに、なにも練習してなくても、サボっていたとしても、ある選手が試合中にすごいパフォーマンスをすることがあるんですよ。でも、そういうことは一回きりだと思う。

 やっぱり継続してパフォーマンスを出し続けるためにも、コツコツと毎日練習からやることが土台になって、それが自分の武器になるんだと思います。植田選手のヘディングもそう。僕はまだまだ積み重ねていかないといけないものがある」

 練習は裏切らない。菅原の今季唯一のゴールは1月16日のフォルトゥナ・シッタルト戦(2−1でAZの勝利)で決めたものだった。

「しかも(利き足でない)左足でしたからね。それこそ前日、左足のシュートを練習していたんです。それでとっさに左足のシュートが打てたので、『よっしゃあ!』という感じでした(笑)。『プラクティス・メイクス・パーフェクト(練習の積み重ねによって技が完璧に近づく)』という言葉がありますが、そのとおりだと思います」

 スタートダッシュに失敗し、一時は12位に低迷していたAZだが、11月20日のNEC戦(1−1)からなんと公式戦11勝4分と負け知らず。その間、リーグ戦では7勝3分を記録して5位に浮上した。KNVBカップはベスト4、欧州カンファレンスリーグはベスト16進出を決めている。

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