旗手怜央「すごくいいスタート」。裏に専属通訳、住居、日本人コミュニティなどクラブや監督の手厚いサポートがあった

  • アレックス・オヘンリー●文 text by Alex O’Henley
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

【クラスゴーダービーで衝撃の活躍】

 旗手怜央の初のグラスゴーダービーが、パークヘッド(セルティックの本拠地がある地域)の伝説となるのは間違いない。

セルティックに移籍直後から大活躍している旗手怜央 photo by Getty Imagesセルティックに移籍直後から大活躍している旗手怜央 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 24年前、リュボミール・モラフチクがセルティックでのデビュー戦となったダービーで、いきなり2得点を挙げて5-1の圧勝に貢献したが、川崎フロンターレからやってきたばかりの24歳も、同様の衝撃をもたらした。

 宿敵レンジャーズを相手に、前半のうちにどちらも見事なミドルで先制点と2点目を連取すると、ハーフタイム直前に左からのクロスでリエル・アバダのゴールをお膳立て。後半にスコアは動かず、試合は3-0で終了した。

 そう、地球上で最も熱い一戦のひとつに初めて出場した日本人選手が、全ゴールに直接関与する活躍を見せ、フープス(セルティックの愛称)は2年ぶりに永遠のライバルを下したのだ。

 オンライン上には即座に数多の反応が起こり、そのなかには著名選手が綴ったものもあった。アストン・ビラのスコットランド代表MFジョン・マッギンは「旗手、惚れ惚れする」と呟き、同代表で主将を務めるリバプールのサイドバック(SB)アンドリュー・ロバートソンも「旗手、とんでもない選手だ」と続いた。

 また『ESPN』英国版は「グラスゴーの新たなキング」とツイートし、『スカイ・スポーツ』で試合を分析した元スコットランド代表ジェームス・マクファデンは、その非の打ちどころのないパフォーマンスを「センセーショナル(衝撃的)」と形容した。

 1月に新天地に降りたってから、旗手はまさに衝撃的な印象を与え続けている。ハイバーニアンズとのデビュー戦でマン・オブ・ザ・マッチに選出されると、次のハーツ戦ではすさまじい一撃を叩き込み、プレミアシップ初得点を記録。続くダンディー・ユナイテッド戦でもチームの勝利に貢献したあと、首都のダービーでこの大活躍だ。

 スコットランドで今、もっともホットな選手のひとりになったのは間違いない。移籍金が140万ポンド(約2億1840万円)と破格だからとか、アジア人選手だからとか、そんな背景は一切抜きにして。

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