旗手怜央「すごくいいスタート」。裏に専属通訳、住居、日本人コミュニティなどクラブや監督の手厚いサポートがあった (2ページ目)
【クラブの細やかなサポート】
古橋亨梧と同じく、旗手も移籍直後からとてつもないプレーを披露している。これにはマクファデンも感心する。
「文化が異なり、試合のスピードも違うはずなのに、彼は悠々とプレーしている。落ち着き払っているし、ボールを持っている時のクオリティーが実に高い。すばらしい選手だ。(セルティックは)またひとり、スターを見つけたね」
旗手の才能がこの活躍を実現させたのは間違いない。ただし、その影にはクラブの献身的で細やかなサポートもある。
2月6日のマザーウェル戦(4-0で勝利。旗手は前半のみ出場し、1アシスト)の前日、地元記者がアンジェ・ポステコグルー監督に、「4人の日本人選手」と一括りにして質問すると、56歳のギリシャ系オーストラリア人監督は次のようにやんわりと指摘した。
「彼らはそれぞれ、完全に異なる個人であり、全く違うタイプの選手だ。4人の日本人選手を一緒くたにしてしまうのは、我々の怠慢だよ」
指揮官がそう語るように、クラブはそれぞれの個性を考慮して、一人ひとりに専属通訳をつけている。彼らが適切な住居を探したり、街を案内したりして、適応を手助けしているのだ。また監督自らも日本領事館の知人に連絡して、グラスゴーの日本人コミュニティーと彼らをつないだ。
そんなクラブと監督の助力も、旗手の衝撃的なパフォーマンスにつながった要因のひとつと言えるが、実のところ、彼はまだ万全の状態ではないというのだ。ライバルたちにとっては、耳が痛い話だろう。
「怜央はまだコンディションが整っていないんだ」と、レンジャーズ戦のあとにポステコグルー監督が言うと、私たち記者団はそれを冗談と捉えた。「まだまだやらなければならないことがたくさんあるし、もっともっとよくなっていく。ただ私は、彼が見せてくるものもわかっていた。クオリティーの高い選手だからね」
それについて選手本人は、「まだまだ監督ができるって言うなら、できると思う」と『スカイ・スポーツ・スコットランド』に語って笑った。「常に自分の持っている100%を出そうと思っています」
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