菅原由勢、オランダ屈指の右SBに成長中。「日本代表は頼んで入る場所じゃない。ポジションは奪うもの」
2月5日のオランダリーグPSV対AZ戦。1−1で迎えた75分のことだった。
AZの右SB菅原由勢は、敵DFラインの裏を駆け抜けたFWザカリヤ・アブフラルに向かってロングボールを蹴った。そのパスは、アブフラルの爪先に触れたかどうか際どいもの。ともかく、ボールは大きくワンバウンドしてPSVのGKイボン・ムボゴの頭上を越えていき、最後はFWイェスパー・カールソンが無人のゴールにシュートを蹴り込んだ。
オランダメディアは菅原由勢のプレーを絶賛この記事に関連する写真を見る「ユキ(菅原由勢)のアシストだ!」
全国紙『デ・テレフラーフ』のAZ番記者が叫んだ。残念ながら公式記録に菅原のアシストはつかなかったが、チームを2−1の勝利に導くラッキーボーイになった。
2月9日のKNVBカップ準々決勝。4−0でAZが勝利したRKC戦でも、菅原は見事なクロスからFWヴァンゲリス・パヴリディスのゴールをアシストしたかに思えた。だが、こちらはオフサイドでノーゴールの判定に泣いた。
今シーズン、菅原はこうした不運に何度泣いたことだろう。昨年末、フローニンゲン相手に決めたゴールも、味方がオフサイドポジションに立っていたために取り消されてしまった。
菅原の今シーズンの成績は1ゴール2アシスト。しかし、数字以上の驚異を相手チームに与えている。
代表マッチウイーク直前の1月22日、カンブール戦のAZは好機を逃し続け、0−0の引き分けに終わってしまった。菅原本人としては納得のいく結果・内容ではなく、浮かない表情でインタビュールームに姿を表した。
しかし、専門誌『フットボール・インターナショナル』が与えた菅原の採点は「8」。非常に高いものだった。アシスト未遂のラストパスや質の高いクロス、サイドチェンジ、安定感のある守備など、持ち味を発揮した菅原に対し、同誌のベテラン記者はスコアレスドローの後味の悪さを引き飛ばすような高採点をつけたのだ。
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