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レアル、CLでPSGと激突。アンチェロッティの超効率主義サッカーは通用するか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

【アンチェロッティのチームの特徴】

「我々は試合をコントロールできています。守備の決めごとが浸透し、選手の能力が高いだけではありません。ディフェンシブでソリッドなチームが私は好きでね。その点が、まさに改善できたところだと思います。前からプレスに行くわけではなく、低い位置でブロックを作って守り、カウンターでFWを使う。守りにストレスを感じないチームで、そこが強みになっているんです」

"守りの耐性"は最大のアドバンテージだろう。事実、攻撃的に挑んできたバルサ、レアル・ソシエダ、セビージャとの一戦では、ポゼッション率で下回ったが、いずれも返り討ちにしている。

 プレーモデルを確立したことで、各選手の力も高まった。たとえばヴィニシウスは劇的な成長を見せている。昨シーズンまでは「ドリブルの能力は高いが、持ちすぎが目に余り、フィニッシュの精度が低い」という課題があった。だが今シーズンは、ベンゼマとのコンビで面白いようにゴールシーンを作り出している。チームの守備が安定し、攻撃力を存分に出せるようになった。

「いい守りはいい攻めを生み出す」

 その論理は、守備そのものにも厚みを与えた。前線、中盤で攻撃を限定し、バックラインは堅固になった。おかげで新加入のダビド・アラバもすぐ適応し、セルヒオ・ラモス(パリ・サンジェルマン)の穴を埋めて余りある働きだ。

 特筆すべきは、守りを固めているわけではない、という点だろう。モドリッチは象徴的存在で、ボールを持っていてもいなくても、正しい選択ができる。攻守の機微を知り、相手の逆を取れる。

「敵が戦いにくいチーム」

 それがアンチェロッティのチームの特徴だ。

 もっとも、無敵というわけではない。CLグループステージ第2節のシェリフ・ティラスポリ戦に、レアル・マドリードは1-2と敗れている。本拠地サンティアゴ・ベルナベウでのゲームで、チームとしての格も違い、負ける要素はないはずだった。

 レアル・マドリードは75%以上のボール支配率を誇ったが、攻撃はノッキングした。一方、守備においてはサイドチェンジからの速い攻撃にぜい弱さを見せ、失点を浴びている。

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