2021.12.12

今季強さが際立つリバプール。自分たちの正義「ストーミング」で小賢しいポジショナルプレーなどひと呑み

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

欧州サッカー最新戦術事情 
第3回:リバプール

日々進化していく現代サッカーの戦術を、ヨーロッパの強豪チームの戦いを基に見ていく連載。第3回は、ユルゲン・クロップ監督率いるリバプールを取り上げる。ライバルであるジョゼップ・グアルディオラ監督のマンチェスター・シティとは、サッカー観の違うスタイルで、いま世界のサッカーをリードしている。

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今季、その強さが際立っているリバプール今季、その強さが際立っているリバプール この記事に関連する写真を見る 【動機が違うストーミングとポジショナルプレー】

 ユルゲン・クロップ監督の率いるリバプールのプレーは「ストーミング」と呼ばれ、マンチェスター・シティなど「ポジショナルプレー」と対立するスタイルと思われているところがあるが、ストーミングとポジショナルプレーは対立概念ではない。

 似たものに「ポゼッション」とストーミングの対比もあるが、こちらも対立するものではない。リバプールがショートパスをつないで攻め込むことはあるし、5レーンを意識した立ち位置も採り入れている。逆にシティにとってもハイプレスの守備は不可欠だ。

 速攻と遅攻、攻撃と守備......正反対で相容れないものとして取り上げられがちなものはいろいろあるけれども、実際のところサッカーには「全部ある」。何かひとつだけでプレーするのは現実的に不可能なのだ。

 リバプールはリバプールであり続けているが、変化もしている。もし、リバプールが水色のユニフォームを着てプレーしていたら、うっかりするとシティと間違えるかもしれないぐらいだ。

 全部あるのがサッカーだから、リバプールとシティはその頂を目指しているのは同じで、登頂ルートが違うだけのようにも見える――が、筆者は両者が同じ場所に立つことはたぶんないだろうと思っている。動機が違うからだ。