デ・ブライネに見る現代の「トップ下」の姿。かつての「10番」とは何が違うのか (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 ジネディーヌ・ジダン(フランス)、フアン・ロマン・リケルメ(アルゼンチン)といった例外的な選手がトップ下として存在感を示す一方で、従来の典型的なトップ下の選手はほぼ居場所を失った。

 現在も形としてのトップ下は残っている。先述したシティのデ・ブライネ、マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデス、あるいは3-4-2-1システムの「シャドー」(「2」の部分)としてのトップ下はある。ただし、1980年代のようにFWとMFの中間ポジションとして特化したトップ下は、消滅したとみていいだろう。

 現在のトップ下はほぼ例外なく守備のタスクを負っている。4-2-3-1のトップ下、インサイドハーフ、シャドーのいずれも、守備の時にどのエリアを担当するか決まっている。

 守備ブロックから切り離されているのは偽9番だけだ。資質と役割としてはトップ下だが、ポジションがCFなので守備負担はチームで最も軽い。トップ下化する偽ウイングも比較的負担は軽いが、サイドの守備強度はそれなりに高い。このポジションで守備を免除されているのはリオネル・メッシぐらいである。

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