「メッシ移籍後のバルサ」に試金石。守備強化路線はバイエルンに通用するか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 リオネル・メッシを放出せざるを得なかったバルセロナは、どれだけのプラスあるいはマイナス要素で本格的に新シーズンへ入るのか?

 リーグ戦開幕以来、バルサはレアル・ソシエダ、アスレティック・ビルバオ、ヘタフェと戦い、2勝1分け。成績だけを見れば、悪くないスタートだろう。ロナルド・クーマン監督の2年目、現時点では批判が抑え込まれている。

 しかし、不安は尽きない。8月末の移籍期限まで人の出入りが激しかった現有戦力を含め、あらためて"メッシ移籍後のバルサ"を検証した。

リヨンからバルセロナに移ったメンフィス・デパイは攻撃の柱になれるかリヨンからバルセロナに移ったメンフィス・デパイは攻撃の柱になれるか 下部組織ラ・マシアで手塩にかけた大型MFイライクス・モリバをライプツィヒに1600万ユーロ(約21億円)で売却せざるを得なった(モリバ側が契約更新を拒否した)のは、やはり痛手かもしれない。クーマンはモリバに目をかけていた。現場の計算が狂ったのは間違いない。モリバは中盤でインテンシティを与えられる18歳で、今後のバルサを担うはずだった。

 とは言え、ここは「不満分子となる若手を残して、結局フリーで手放すよりはマシ」と開き直るべきだろう。

 モリバと同じポジションには、スペイン人MFニコ・ゴンサレスが育っている。ニコは1990年代にデポルティーボ・デ・ラ・コルーニャで左利きファンタジスタとして鳴らしたフランの息子。長身のクレバーなMFで、セルヒオ・ブスケツの後継者候補だ。

 移籍マーケット閉鎖直前には、チーム2位のポイントゲッターだったフランス代表アントワーヌ・グリーズマンをアトレティコ・マドリードに移籍させたが、これも大きな問題ではない。グリーズマン自身、バルサでフィットできず、アジア人への差別発言なども問題視され、立場的に窮していた。ファンから「お前のせいで、レオ(メッシ)は出て行った!」とメッシに次ぐ高年俸が批判されたりもしていた。

 グリーズマンを手放したことで、セビージャのオランダ代表FWルーク・デ・ヨングを獲得した。クーマンがリクエストしていたセンターフォワードの第一候補ではなかったが、オランダ代表監督時代に熟知しているだけに、まずまずの補強だろう。

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